題名:箱庭の街U 登場隊員:ゾンド・ドラゴンマスク(中央区ジンディッセ) ゾンド【入室】 (2008/05/09 (金) 22:46) ◆ ゾンド :(丘にあって、その巨大な面積を占有するヴォルセット邸裏庭の一角。昼間であればかろうじて日光が射しこむような不遇な立地に臨む薔薇園のそばに、ただ置き場に困って打ち捨てられたかのようにも見える古びた金属製のベンチとテーブルが、夜霧の中で濡らされていた。とりあえず防錆加工の類は施されているか、もしくは最初から錆びようもない材質でできているのかは推し量れないが、塗装の禿げた部分はそこだけ鈍い光沢を放ち、むしろ脱皮を経て新しい存在になったかのようにも思えた。霧にけぶっている上に、そこに座っているものは普段からでも夜の中に紛れ易い見かけをしている。周囲に光となりそうなものが灯されている様子もない。光の射さない時と、光を攪拌させる空間という二重の闇の中にあって、人一人だけが座るには横のサイズがあまりに大きすぎる椅子に、一人の少年がそこへ腰掛けていた。) 2008/05/09 (金) 22:47 ◆ ゾンド :(その地点は、ここの使用人の方々が言うには“お茶のため”に存在するという。そこで、低層木の双子葉類の一種を原料として摘まれ、高温蒸気を通った後に発酵処理を施された、嗜好品用途として存在する植物の葉の切れ端を数グラム程度持参して、そのまま目の前のテーブルの上に置いていた。特にそれ自体には目立った変化のようなものは何時間待っても認められず、じきに匂いを嗅ぎ付けた一匹のかたつむりがのろのろとテーブルの脚元から這い登って来て、そのお茶を咀嚼し始めるに至った。) 2008/05/09 (金) 22:59 ドラゴンマスク【入室】 (2008/05/09 (金) 23:01) ◆ ドラゴンマスク :ム!貴様かッ!人ならざる不審者と言うのはッ!そこを動くな!トァアーーーッ!!(なんか跳んできた。竜のマスクを被った男が彼の前に着地し、ビッと指を突きつける。どう見ても不審者はこっち側なわけだが気にした様子も無い。)使用人たちが不気味がっていたぞッ!何時間もこの場所に居座っているそうだな!死体と間違えられるほどに!…―――…おや、もしかして君は…?(一方的にそう怒鳴りつけた後、急に大人しくなって竜頭の尖った顎部を撫でる仕草。どこかで見たことがあるような…) 2008/05/09 (金) 23:07 ◆ ゾンド :(まともな視界も無い状況下で、そこに膨張した圧倒的な存在感を前に、ただただ少年は身を竦ませて俯き、恐縮するばかりだった。)……申し訳ありません。すぐに、割り当ての場所へ戻ります。(自分にとっては全速力なのであったが、それはどうみても目の前のかたつむりよりかは幾分ましかという速度で立ち上がり、ごみのようにも見えるお茶を取り除こうと手を伸ばすが、そこを占有するかたつむりは我関せずとばかりに夕餉に夢中である。両者を左右に見比べながら暫く佇むと、正面で仁王立ちする偉大なものに向かって、また頭を下げた。) 2008/05/09 (金) 23:16 ◆ ドラゴンマスク :あ、いや、失礼…つい喧嘩腰になってしまったようだ。何分、仮面“武闘会”に向けて生徒たちと特訓中だったものでな!血が沸騰しているのだ!はっはっは!(相手の恐縮した態度を見れば竜面の男も冷静さを取り戻したか、「座りなさい」と促し…完璧に思い出した相手の顔と名前。)―――…確か、君はゾンド…だったな。バージェスで色々と世話になった記憶がある。こんな場所で灯りもつけずに何時間も何をしていたんだ?使用人たちが君のことを幽霊か何かと勘違いしていたぞ?(そう問いかけながら、ぬん!と空中に簡単な紋を描く。その右の人差し指の先に小さな火蜥蜴が走り、テニスボール位のサイズの灯りとなるだろう。) 2008/05/09 (金) 23:23 ◆ ゾンド :(その少年の持っていた卑屈な雰囲気が一変する。何故かというと、目の前のものが発したただ一つの単語に著しい興味を示したからだ。暗所に突然灯された明りにも頓着せず、武闘会という言葉にも、バージェスという固有名詞にもなんら反応しない。あくまで知識欲の赴くまま利己的に、竜の姿を取るものへと問う。彼に促されたばかりなのに、座る事も忘れていた。)時間…この世界の「時間」という概念について、あなたのご教鞭を賜りたい。 2008/05/09 (金) 23:31 ◆ ドラゴンマスク :ム…、そうか「時間」が分からないか…。この世界という言い回しが少々奇妙だが問われたならば教えてしんぜよう。(腕組みをして少々唸った後、パッとどこから取り出したかも分からない動きで小さな砂時計をテーブルの上に置く。これは1分の砂時計だ。)この砂時計を平らな所に置いて、上部の砂が下部に落ちた後に59回ひっくり返すと1時間になる。君はその1時間の何倍もここで動いていなかったのだ。常人ならば“長い”と感じ、“異常”とも感じる。分かるかな?(自分なりに分かりやすく説明したつもりだった。幼い頃、アースガルムにて教えられた「時間」とはこれだったが…) 2008/05/09 (金) 23:42 ◆ ゾンド :確かに、「時間」という概念をこの世界に理解し易いものに解釈し、社会の運営に的確に有効活用する、あなたがたの知慧には感嘆せざるをえない。一般的にこの世界ではその粉流体の動きとして、「時間」は変化を記述するものとして考えられることが多い。物質はある瞬間にある配置をとり、次の瞬間には別の配置となるように。しかしそれでは、宇宙があまりに層状に重なりすぎて、不安定なものとなってはしまわないだろうか。我々の仮説では「時間」の概念はより単純で、極めて平坦な見方をしている。 2008/05/09 (金) 23:49 ◆ ドラゴンマスク :ム…、ムム…?す、すまない、君の言っていることがイマイチ理解できないのだが…この砂時計の説明はどこか不足していたのか。私もこれを専門にしている学者ではないのでなぁ…。(一応それなりの学はあったが基本は戦いが専門分野だ。宇宙が層状に重なる、と言われてもイメージできない。)では、君の「時間」の概念と言うのを聞かせて貰おう。…できるだけわかりやすく言ってくれるとありがたいのだが…。(竜頭の顎部を撫でながら、興味本位に聞いてみた。物事を別の視点から見るのはいいことだ。ひとつの考え方に捕らわれなくなる、ということはそれだけ柔軟になるということ…。) 2008/05/09 (金) 23:57 ◆ ゾンド :あくまで仮説でしかないのだけれど、それでもいいのなら。……仮にではあるが、この宇宙が無限に近似した広大さを有し、その中をこの付近の空間と同程度の密度で物質が満たされているのなら、あなたがたの考える「時間の流れ」のそれぞれの状態に対応する物質のありとあらゆる全ての構成が、空間のどこかに必ず存在していることになる。なれば「時間」とは、それぞれの構成に決まった順序を与えているに過ぎないのではないか。それに立脚すると、「時間」は「流れ」てなどなく、全ての存在は静的なものとなる。「変化」というものは、もとよりどこにも存在しない。これが我々の考える、「時間」というもの。 2008/05/10 (土) 00:08 ◆ ドラゴンマスク :……………。(しばらくの沈黙。ピンと張っていた竜の髭がヘナヘナと萎れた。)ヌゥ…どうやら私には難しすぎたようだ。まぁ、私にとっては「時間」が自他共に同じものを表していればそれで困らん。すまないな、私にもっと学があればこのことについて討論できたかも知れんが…。(途中で訳が分からなくなった。そもそも空間や密度などは知る必要も無いことばかりだ。最低限、「木からリンゴが落ちるのは引力が働いているから」とかいう一般常識だけ知っていればいい。)…さて、話を最初に戻しても構わないか?君は一体ここで何をしていたんだ?まさか、さっきのような難しいことを永遠と考え続けていたとか………いや、それならそれでも一向に構わんのだが…。 2008/05/10 (土) 00:21 ◆ ゾンド :申し訳ありません。我々にもう少しだけでも、口語的な表現についての知識と、それを扱える汎用性があれば、結果は恐らく違うものになっていた筈。(そうしてまた、腰を折るようにして頭を垂れた。彼と出会って三度目に当たるものだ。ややあって、これもまた推測でしかないが、竜と呼ばれている存在の姿を模した頭部へと顔を向け、また別に、左手の指の先はテーブルの上を指した)…あなたがたのよく言う、「お茶」と呼ばれる行為について、探っていたのだけれど…。(指されたテーブルの上には最早、かつてそこにあっただろう貴重な嗜好品の姿は消え失せていた。代わりに満腹となって眠りに入ったかたつむりが、悠然と殻の存在だけを示してそこに在る。) 2008/05/10 (土) 00:34 ◆ ドラゴンマスク :お茶…?ティータイム…というやつのことか。フーム、真夜中にやるものではないと思うのだが…。それに…―――(見間違えるはずもない。テーブルの上に依然として存在するのはかたつむりである。エスカルゴと言う食用のかたつむりも居るらしいが、今テーブルに鎮座しているのは食べられない、あまり衛生的に良いとは言い切れないかたつむりである。)…ムゥ…悪いが全然そのようには見えんな…。一体誰に「お茶」を教えて貰ったんだ?(もし誰かに教えられたならば冗談を言われたか、その教えた者が奇人だったかの二択である。) 2008/05/10 (土) 00:44 ◆ ゾンド :契機としては、この世界にて普遍的によく行われる「お茶」という行為について、使用人の方々に尋ねた所が発端です。我々にも以前から、各所の要塞で稀に振舞われていたのだけれど、物質的にそれは何かと問うたら、加工された植物の葉らしきものを渡されて。我々が普段見かけていた「お茶」は、主に陶器を傾けて注がれる液体だったのに…彼等が多忙な中で続けて尋ねるのも気が引けて。そうして、この屋敷で「お茶」に最も相応しい場所として、文献に書いてあったのが、このテーブルだったのだけれど。その上に置いていたら、中型の腹足類が、それを、先ほど摂取してしまって。貴重品という話は常々聞いていたのに…これは明らかに我々の不注意です。申し訳ありません。(述べる発言が後半になるほど、声の調子は掠れるような波長になる。)何か、これについて罰のようなものがあれば、重さの程を参考までにお聞きしたいのですが…。 2008/05/10 (土) 00:58 ◆ ドラゴンマスク :…………。(もしかしてこれはわざとなのだろうか。私はからかわれて居るんじゃないだろうか。しかしそのためだけに何時間も座りっぱなしと言うのは根性がありすぎる。つまり…所謂…失礼だが“天然”というやつなのだろう…。彼のそれは常人と毛色が違うようだが…)い、いや、罰はないと思うぞ。そのお茶は君にくれたものだ。貴重だからちょっと勿体無いと言うだけであって、罰されることはないだろう。(軽く手を振ってとりあえずはそこを訂正する。しかし、まずはどこから説明したものか…。)ムゥ…どう説明していいものか分からないが、君が渡されたのは液体のお茶の原料なのだ。その葉をお湯と煎じることによって飲めるようになる。まぁ、私も詳しいわけではないのだが…。そして、行為の「お茶」の方はそれを飲むことだ。飲みながら菓子を食べたり、友達と喋ったり…そんな感じのひとときを過ごすことを「お茶」という。繰り返すが、私も詳しいわけじゃないんでなぁ…。(貴族とは言えど優雅な行為とはかけ離れた家風にある貴族だ。こんな説明でよかったのだろうか、と少々不安になってきた。) 2008/05/10 (土) 01:10 ◆ ゾンド :納得がゆく説明に感謝します。確かに我々が、これが「お茶」というものであると教えられたのは液体です。しかし…生産の手間と効能を比較すると、この加工品の費用対効果はとても低いように思えます。一般的に流通するタイプに含まれる主な栄養源はカテキンとビタミンEだけれども、これらは熱湯に対して非水溶性です。栄養源としてなら直接経口摂取する他ありませんし、そうしなければ風味の濃度も大きく劣ります。媒質として用いる熱湯も、やや温度が高いというだけであって栄養素は通常の水と何も変わらないし……もしかして、「お茶」とは、あなたがたの普段用いている「魔法」の一種なのでしょうか?人間を介さなければ効果を持たない点など、共通点があるように思えます。 2008/05/10 (土) 01:25 ◆ ドラゴンマスク :いや、「魔法」ではなくてな…。確かにそのままムシャムシャと食べてしまうのもアリかも知れないが…ヌゥ、「お茶」というのは違うのだ。効果を考えると確かに無駄が多く見えるかも知れないが…。(改めて質問されるとどう返せばいいのか分からなくなる。「お茶」にそれほどこだわりがあるわけでもない。それに、言われている内に茶っ葉のまま食べるのも良いかも知れないと思えるようになってきた。これは敵わん。ゲフン、と咳払いをひとつし…)…く、詳しくは使用人たちが暇な時に聞いてみてくれ。私が完全に説明するのは不可の―――…いや、難しいのだ。あー、そろそろ私は戻って寝ることにするよ。君もそうしなさい。(逃げた。頭を使いすぎたせいか頭痛がする。ここまで追い詰められるとは思ってもいなかった。) 2008/05/10 (土) 01:37 ◆ ゾンド :いえ、無駄という要素が社会経済を牽引する一因ともなっている事は知っています、こちらの思慮が浅かったようです。……すみません、お引き留めしてしまいました。何か他に諸用があったのであれば、御詫びの足しにもならないと思いますけれど、我々が何でもお手伝いさせて頂きたいです。それにあなたを巻きこむことによって、この時間帯の屋敷の警備に大きな隙を作らせた責任も感じています。あなたの警備時間の補填はこちらで引き継ぎます。どうか、ごゆっくり休まれて下さい。 2008/05/10 (土) 01:46 ◆ ドラゴンマスク :ム、別に気にしなくていい。非番だし、特訓も終わった後だったしな。ただ使用人に頼まれたから様子を見に来ただけなのだ。気にせず君も休んでくれ。では、良い夜を。(軽く手を上げ、踵を返してその場から去っていった。しばらく沈黙したまま歩き続け…大分離れた地点にてふと立ち止まり、竜頭の髭を撫でながら呟いた。)…最近の子供はちょっと変わっているなぁ…。ヴィッツ殿たちを見ても思うのだが…これもジェネレーションギャップという奴か…。(―――それは多分違う。) 2008/05/10 (土) 01:52 ドラゴンマスク【退室】 (2008/05/10 (土) 01:52) ◆ ゾンド :(少年は彼の命令の通り、早々に裏庭を後にした。彼の教えてくれた事は極めて多岐に渡っていたが、なにより、自分があまりにも長く同軸座標上で停滞していると他人の迷惑になるという新しい情報は、何より貴重なものだったから。それから少年は非番の際の自室で布団に包まりつつも、天体の移動距離を参考にしながら寝台の上をあちこち転がっていたりする光景を見られるのは、彼の自室の天井にて巣を張る、小さな蜘蛛だけであったという。) 2008/05/10 (土) 02:06 ゾンド【退室】 (2008/05/10 (土) 02:07) HIGHLAND FORTRESS 峠の要塞(閉鎖しました) http://h-f.sakura.ne.jp/kariken/index.html BACTERISM MATRIX http://bacterism.matrix.jp/ PCキャラページ http://tryx-quad.sakura.ne.jp/zond.html