題名:賭場の天使と幽霊 登場隊員:アカーナの天使(NPC)・ゾンド(グラン・デール要塞) アカーナの天使【入室】 (2008/11/21 (金) 23:25) ◆ アカーナの天使 :そこのお若い方々、見ているだけでは楽しめないでしょう――手持ちが少ないなどと仰らずに、稼いでらっしゃるって、知ってるんですから。(異国調の特異な空間でも周囲に負けることなく目立っているのは、刺繍が施された黒い民族衣装を纏う男だった。銀髪に紫の瞳の、それだけでも目を引く容姿の若者だったが、)一回だけならどうとでもなりますよ。さぁさ、運試し!(なにより存在を主張するのは、腕を横に伸ばすよりも大きさのある白い翼だ。彼は正真正銘純血の天使だった。) 2008/11/21 (金) 23:32 ゾンド【入室】 (2008/11/21 (金) 23:43) ◆ ゾンド :(カジノの奥を訪れる兵の凡例通りに、人目を避けて現れた待機の人間は、外見は全く未成年に見える人物だった。人の匂いに乏しいYUKATAを羽織る体格はどこか歪である。物腰穏やかにやんわりとUターンを勧める、応対に出た人物に深々と頭を下げ、休ませて欲しい、というような類の要請を願い出たのだが。理由は言えないが、ここに置くのも無理なのだと、やはり駄々を捏ねる童を宥めすかすような口調で、最後まで断固とした拒否を申し渡され続けたのである。 誰も彼もがテーブル面の上か、あるいは審判か司会の役割と思われるひとに釘付けとなっている隙に紛れ、天井から垂れる薄布の影からじっと部屋のあちこちを観察していた。一層通り良い、不意を突いて近場で甲高く響いた客引きの声に釣られ、其方を見遣った。) 2008/11/21 (金) 23:45 ◆ アカーナの天使 :(抱える筒状の金属籠を揺らして、その中の二つのサイコロで音を立てる。こうして男が客を寄せてやっているのは、出る数を予想して賭ける、単純な遊びだった。)皆々様、掛け金の用意はよろしいでしょうか。私がサイを振りますので、その出目を予想してください。賭け方と配当の一覧は、お手元、テーブルの上に御座います。(背が高いところ、更に背伸びして人々の動きを確認して、動きが落ち着いたところで一礼する。)それでは、(しゃんと姿勢を正した天使は籠を高く放り投げ・・・それを見つめて、魔法で中空に留めた。アカーナ人が用いる浮遊の魔法である。)変更なさるなら今のうち。よろしいですか!(笑顔でもう一度辺りを見渡し、遠くに少年の姿を見つける。どうぞこちらへ、とにこやかに手振りで示すが、人が多いので誰に示したのか分かりづらい。) 2008/11/21 (金) 23:47 ◆ ゾンド :(たっぷり一分は停止して、手振りを呼び掛けた人物に随った。まだ方向で判断している段階なので、複数なのか単数なのかは思考の内に入っていない。椅子に腰掛けるにはまだ躊躇が見られる少年は、見た目の上では帯紐も懐の内側も空のように薄く、元金の面は如何にも頼り無さ気である。テーブルから少しだけ離れてゲームを遠巻きにしながら、それでも逃げ出そうともせず、移り気に小道具を眺めている。) 2008/11/21 (金) 23:58 ◆ ダイス :2 2008/11/22 (土) 00:03 ◆ ダイス :3 2008/11/22 (土) 00:03 ◆ アカーナの天使 :(ゾンドには参加の意思がなさそうに見えたが、それでも――他にも何人か引き寄せられたのもあって――にこにことしたまま、彼は顎を引いて顔を正面に戻した。腕を天井に向って伸ばす、と、籠が一回二回と回転して緩やかに落下する。金属の格子が蝋燭の灯りを反射して光った。)ご注目。(からんとする音を聞きながら手の平に着地させ、やはり重力を感じさせぬ機敏な動きでさっと前に示した。静かに、目を変えてしまわないようにテーブルに置いて押す。)今回は2と3でした!次からはサイが増えますよ!(宣言に、様々な声が各所から上がる。他の、高峰国軍のディーラーたちが賭けられたチップを移動させている中、天使はテーブルの上に置かれた三つ目を手にして呼びかけた。席を立つ者、まだ居座る者をまた眺める。) 2008/11/22 (土) 00:05 ◆ ゾンド :(頭を掻いて退席した一人の男性兵士を何故か頭を下げて見送った少年は、彼の抜けた後釜に淀みない動きで座った。そこだけ、周囲と比べて著しく低い座高ができている。少年は、顎を抱えて難しい顔を作る、青い無精髭が目立つ左の席の兵士に何事かをぼそぼそと囁いた。一瞬のみ怪訝な顔をした兵士はすぐさま満面の笑みになり、また何か微妙な表情を浮かべて、黙礼をして少年の背の――帯に挟まっている袋を受領したようだった。袋を持ったまま二言三言言葉を交わして、改めて中から銅貨を2枚だけ取り出した無精髭の中年兵士は、それぞれを1と6の箇所に置いて、恨みがましそうに天使を見上げる。少年は延々と沈黙を維持したままだ。) 2008/11/22 (土) 00:18 ◆ ダイス :1 2008/11/22 (土) 00:27 ◆ ダイス :2 2008/11/22 (土) 00:27 ◆ ダイス :2 2008/11/22 (土) 00:27 ◆ アカーナの天使 :(籠にサイを増やして振って見せ、)それでは二回目。よろしいですか、(顔より高く持ち上げ、変わった客の顔を一つ一つ確かめる。恨みがましい視線を向けられるのは慣れたもので、愛想笑いと言うには弱い、軽く眉を下げるだけの顔をした。全員が賭ける数字を定めたので、また籠が放られる。)皆様に、春の指先が触れますように。(魔法で、停止、回転。手元へと引き寄せる。異国の祈りを口にして、ぶつかり合ったサイが停止したところで、テーブルへと置く。)1、2、2!(出目が高らかに宣言された。嬉しそうにしたのは、1と2に賭けていた者、2が二つ揃うのに賭けていた者だ。三つ揃うのに賭けていたものは、他以上に悔しそうだ。) 2008/11/22 (土) 00:29 ◆ ゾンド :(銅貨がたった一枚の儲けでしかないせいか、或いは別の引っかかるものがあったか、無精髭の兵士はだんまりと払い戻しの一枚を引き取った。返す礼も少年の背を軽く叩くだけで、二人とも顔は見合さない。ただ、兵士の表情からは陰りが薄まる。新たにフィールド・ベットに4枚の銅貨を置いた兵士は、堂々と背筋を伸ばし、上下に揺らいで浮かぶ籠を睨んだ。) 2008/11/22 (土) 00:39 ◆ ダイス :4 2008/11/22 (土) 00:45 ◆ ダイス :1 2008/11/22 (土) 00:45 ◆ ダイス :3 2008/11/22 (土) 00:45 ◆ アカーナの天使 :(普段は真面目に仕事をこなしているのだろう兵士たちが一喜一憂するのを見つつ、胸の前においた両手の間で籠を浮かせていた。奇術師のようなその様に、魔法と知っていても気になる人達の視線が集まる。)・・・はい、カードはあちらになります。どうぞごゆっくり―――それではもう一度!(別の遊びを尋ねられ、大げさな身振り手振りで三人の客を外へと導いてから、浮かせたままの籠を上へと。サイを捕らえている籠は三回転の後、今度は勝手にテーブルへと着地した。)4、1、3!(宣言と共に、また従業員たちが動き出す。) 2008/11/22 (土) 00:47 ◆ ゾンド :(またしても倍を払い戻された。本日の当たりがさっぱりであった兵士は呆けたように口を開ける。増えたのは、合計でも銅貨が僅かに5枚だが。)『おい、ディーラー。このガキゃ、お前のところの回したサクラか?どうなってんだこりゃ。』(皮肉ろうにも、どうしても疑念で頭が埋め尽くされている兵士にとってはこれが精一杯だ。軽口未満の野次である。) 2008/11/22 (土) 00:56 ◆ アカーナの天使 :(ビアホールから直接来た男が一人酔い潰れてテーブルの上に寝そべったので、ディーラーが小休止を申し立てた。男を適当な場所に運搬する作業が始まって、賭けられていたチップも正しく位置を変えられる。)皆様少々お待ちくださいませ、すぐに済みます。(天使はその暇に、端に置いてあった小さなグラスを魔法で引き寄せて、指先で小突いて音を鳴らしてから中の酒を呷って燃料補給・・・していたら、声が飛んでくる。)・・・・私どもは芥子の腕章か何か、分かりやすいものをつけておりますよ。所属を訊いてみたら如何でしょう。(酒を飲み終えてもう一度縁をつつき、)まあ、つまりサクラではなくて――彼は春に愛されているのですよ。ご自分では賭けないので?(グラスを置いて籠を玩びながら、ゾンドへと接客スマイルで問いかけた。その頃にはもう、酔っ払いの撤去は完了している。) 2008/11/22 (土) 01:04 ◆ ゾンド :(ビール腹を晒した赤ら顔の酔っ払いが、テーブルの上に大の字で乗った光景が、兵士の目に焼きついて離れない。…ああ、そういえば腹が減ったなあ、でかい獣の肉でも焼いて出して貰おうか、などと現実から一瞬逃避しかかった。) 『ディーラーの色男よぉ。伊達な事言ってる暇あったら気付いてやれよ…。』(他の客ががやがやして小休止となった隙を突いて、あくまでも口を潜め、小声で迂遠に語る。右手で少年のYUKATAの袖の、肘より少しだけ上という不自然な位置でひらひらとはためかせた。少年は貴族御用達の店に置かれるマネキン人形そっくりで、黒曜石じみた瞳で天使を見詰めるだけである。)『じゃあ…。銀貨も使えるんだよな?一枚、こっち置くぞ』(毛深い手が動いたのは、イーブンのボックスへ向けてである。) 2008/11/22 (土) 01:19 ◆ ダイス :4 2008/11/22 (土) 01:29 ◆ ダイス :1 2008/11/22 (土) 01:29 ◆ ダイス :3 2008/11/22 (土) 01:29 ◆ アカーナの天使 :はっは、私は春よりも問題に好かれるので手を出すなと言われておりまして。―――それでは再開致します。皆様ご用意下さい。(話しかけてくる人の動きに首を傾げつつ、落ち着いたテーブルを見渡し、一息置いてから籠を放る。ゾンドと男に一番近かった高峰国のディーラーが、賭けられる銀貨をチップに替えに行き、ついでに二人の様子を確かめた。他の客に対してもそうだが、不正諸々の確認である。隠しもしない視線を背に感じるだろう。)さあ、どうぞ!(天使は巧みに操った籠を、先ほどより多めに回転して勿体つけてから、テーブルへと寄せた。数は、)おっと。先ほどと同じですね――4、1、3! 2008/11/22 (土) 01:30 ◆ ゾンド :(身に覚えのない悪運に、表情は露骨に蒼褪める。長年油を注さずにいた車輪の軸を催すぎこちなさで隣の少年を向いた兵士は、さっきから瞬き一つしない、生気の無い瞳が、此方を値踏みでもしている事に漸く気がついた。男は、今度は途惑わなかった。少年の頭に二枚の銀貨を供べて、思い出し思い出しで祈りの言葉を呟き、それはそれは恭しく胸で十字を切るのだ。)『俺が悪かった。これからはお前の分も健やかに生きる。…成仏しろよ…。』(席を抜ける男の顔は手で覆われ、喉仏を震わせて明るい所へ去ってゆく。その手にはしっかりと5枚の銅貨が握られていた。 少年はディーラーを向いて、少しだけお辞儀をして銀貨を振り落とすが、それらの行く先はやはりそれぞれ、1と6のナンバーの上に行く。) 2008/11/22 (土) 01:49 ◆ ダイス :5 2008/11/22 (土) 01:56 ◆ ダイス :3 2008/11/22 (土) 01:57 ◆ ダイス :1 2008/11/22 (土) 01:57 ◆ アカーナの天使 :(男の奇妙な動きにきょとんとしたのは、天使を含めたディーラーたちだけではなく、周囲の客もだ。『どうしたどうした』と眼で追いかけるが、その姿はすぐに見えなくなる。)―――何があったんだ。(天使の男は呟いて、残されたゾンドの方を見た。頭を下げたのは銀貨を落とす為かも知れないが、反射的に頭を下げ返して・・・あっ、と声を上げた。)続きをしましょう。春の声が呼ぶほうへ、掛け金をどうぞ!(皆が一様に金を動かした。不気味なほどに当てる少年を見、同じ場所に賭ける不調続きの客もいた。宙を踊る籠は、からころサイを揺らして男の手へと戻る。テーブルへ。)5、3、1!(ディーラーはゾンドを見て、「本当に春が憑いてんのかな」と呟き)さあ、夜も更けてきました。私が振るのは次が最後になります。皆様一発、どかんと賭けてみてはいかがでしょう。(ごほんと咳払いをして、明るい声で続けた。見世物としての意味合いが強いこの男の仕事は、そんなに長い時間ではないらしい。) 2008/11/22 (土) 02:01 ◆ ゾンド :(テーブルの上、腰掛けている目の前の位置へ銀貨が戻される。薄暗い燭台の灯りを黙って照り返す銀貨をじっと見つめるだけの少年は、結局、何分もの長考をした末に、一言も口も利かぬまま、衣擦れの音も立てずに席を去った。同時刻、管理施設には中年の兵士がみっともなく涙と鼻水を垂らしながら、『腕のない、戦没者の少年をこの目で見た。形見を貰ったから供養してやってくれ』と訪れる。彼は夜通し懇願し続けるが、次第に泣き疲れ、結局朝には健やかな寝息を立てていたという。) 2008/11/22 (土) 02:14 ゾンド【退室】 (2008/11/22 (土) 02:14) ◆ アカーナの天使 :(手元、テーブルの上と下の見えない位置での動きにだけ気を配っていたディーラーたちは、逆に動かない袖を、彼の鈍い動きの一部として完全に気にしないでいた。失態といえば失態だが、まったく気付かないままでいて――あとで管理施設から話を回され、『大人しいけど普通の子でしたよ』『俺たちにも見えたもん』『掛け金もちゃんとあったし』『酔ってたんじゃないすか』などと言いながら、幽霊説を色々と検証したのだった。)それでは、皆様、ご注目!(籠が振られた。いなくなった少年に手を振った天使は、最後の数字を高らかに告げる。テーブルは歓声と野次に埋められて、今日も賑やかだ。) 2008/11/22 (土) 02:25 アカーナの天使【退室】 (2008/11/22 (土) 02:25) HIGHLAND FORTRESS 峠の要塞(閉鎖しました) http://h-f.sakura.ne.jp/kariken/index.html BACTERISM MATRIX http://bacterism.matrix.jp/ PCキャラページ http://tryx-quad.sakura.ne.jp/zond.html