題名:つながり 登場隊員:ゾンド・セレス(バーパジーラ要塞) ゾンド【入室】 (2009/03/21 (土) 22:11) ◆ ゾンド :(北西の区画は被害が軽く、住人達の抱く危機感も比較的に薄い。街往く住民たちは路地という名の建物の屋根をほうぼうに歩く軍属の姿にも、以前よりかはよっぽどましな感情の篭った視線を送るようになっていた。夜中の水上を進むゴンドラ達はこの要塞に到着してすぐの頃に比べると、かなりの数が目減りしている。昨今の治安の乱れはそこまで歴然としたものなのだろうか。蜘蛛の左脚、頭から数えて二本目のごく要塞に近い、特徴も無く至って由緒正しいバーパジーラ式の住宅街は、この街の中でも最も安全だろうと噂される地域の一つだった。) 2009/03/21 (土) 22:13 セレス【入室】 (2009/03/21 (土) 22:17) ◆ ゾンド :(重要な施設が付近に在るとは聞いているが、実際に自分の感覚器官を通して把握したことはない。この地域を専任で任され始めたのも、自分にとってはつい最近だ。この要塞に居て長いという警邏隊重鎮の人間によって、『似た様な連中は』一括扱いで配置転換されたのだった。理由は不明だが、その判断に則ってここに来ている。部隊別でもなく配置別でもない、強いて挙げれば体格と軍の勤続年数なのだろうか。精鋭を集中させて治安の悪い地域に当てるという戦略は、全く理に適っている。広めの水路の向かい側、随分と早いことに既にその明かりの落とされている建造物を全く照明といえる器具も持たぬまま直立二足で見詰めていたが、警邏に出てからかれこれ数時間、不審な事物からの音沙汰は現れず平穏無事に過ぎている。) 2009/03/21 (土) 22:18 ◆ セレス :(軍服を着て帯刀し拳大の白い火を灯した男は、少なくとも市民からは、真っ当な兵士に見える。要塞駐屯の兵士たちはぱっと見の若さとその装備で新兵と判断するのだが、男にとってそこは割とどうでもいい。安心感と抑止力、これがこの装備で巡回する意味だと思う。)ええ、と・・・(この方面に一人、自分の隊から巡回に出たと聞いて道を辿ってきたが、果して追いついているのか。水路を渡れずに回り道したりも多いので要塞を出てからの時間分は進めていないような気がする。まあ、竜騎士でもなければ、それは追っている相手も変わらないのだが。暗がりでもことかかない魔法と視力で建物の確認をして、細い道を辿って歩き続けた。) 2009/03/21 (土) 22:23 ◆ ゾンド :(その規則的な音はどこか急ぎがかっているようにも感じられるけれど、ここではまだ明確には判断を下せない。しかしそれでも忍び足では確実になく、足音も単数のようで、何より軍靴の立てる音によく似ていた。屈伸するように膝を畳んでその場に屈み、左手のすぐ近場に落ちていた瓦礫の欠片、つまり何の変哲もない小石を拾うと、軽いスナップのアンダースローで晴れた夜空に投射する。唐突に弾道飛行を強制された無機物はきれいな半円の放物線を描いて、やがてはセレスの歩むすぐ脇を流れる水路に落着するだろうか。) 2009/03/21 (土) 22:33 ◆ セレス :(気配を感じてそちらへと視線を向けた。何か投擲されたようだが、今一番不安な、殺意やらが含有されるものではないようだ。不審者に遭遇しても抜刀する確率の低い男の手は、剣に触れなかった。)ん、(代わりにカンテラの代用品として浮ぶ白火がちかりと瞬く。―――横で水音。その後は、何も起こらず。耳を澄ませ、やや慎重に一歩踏み出す。妙な事があれば、即座に魔法を展開する心積もりだが・・・もうすぐ視認できる距離だろう。そういえば誰が先に出ているのかは、聞いていない。) 2009/03/21 (土) 22:42 ◆ ゾンド :(化学的な燃焼に因る炎ではない、未だ正確な呼び表し方を考え付いていないそれが、星明かりに揺らめく暗い水路の波紋の向こうに見えて、ふとどうしようかと迷う。と言っても、相互に居場所を知ることができる手段に、この段階では当てを用意していなかった為だ。カンテラに代表される照明器具の持ち合わせはなかったが、それでも構わず、というより他に手段が無く止むを得ず手を振った。しかしその往復の動きはどこか控えめで緩やかある。居場所さえ分かれば、その場所へは辿り着くに易かろう。幅広の水路に面した正方形の高台が、路地を行ってすぐにある。)セレス、こっち。(仕草に付与して飛んで行ったのは、この少年が何故かあまり使わない呼び名であった。) 2009/03/21 (土) 22:54 ◆ セレス :ああ、貴方だった。(他が灯りを落として暗く、自分の周囲だけが明るい中でも大した苦労も無く、黒い少年の姿を見つけた。呼びかけられたので歩調を少し速めてそちらに近づいて、ある程度の位置に至れば、手を胸の高さまで持ち上げて軽い敬礼とした。)お疲れ様。今、何か投げたのは貴方だよな?(他に、外に出て活動している影は見当たらない。首を傾げながら一応と確認する。火がぐるりと回り込んで、辺りを照らす。)異常はないか。 2009/03/21 (土) 22:59 ◆ ゾンド :(やや砕けた形となる敬礼を見て、一瞬だけ自分の手に目を落とすが、此方もその略式礼に酷似した動作を返した。)そう。あなたの接近は感知できたけれど、あなたであったとは当時まだ分からなかったから、我々が不審者との区別の為に行った。投げたのは、石灰岩の砕石片。(彼の傾げられた首にも、その傾いだ分度に等しい角度で短く頷いた。そうして遅れて、お疲れ様です。と頭を垂れる。昼の訓練時、前衛達が手合わせの後によく交わし合うそれによく似た動作のそれは、ただし今の挨拶には不釣合いではあろうが。)今の時点では、異常は発見していない。出没している不審者は、活動時には派手な動きが多い。少なくとも実働部隊の把握なら、容易な筈だと思う。 2009/03/21 (土) 23:13 ◆ セレス :今騒いでいる不審者なら――もっと大げさに反応して、切りかかるのかな。傾向としては。(同意を示すのに頷いて、考えを述べる。相手も自分も巡回の途中なので、まずは進もうと手袋はめた手で奥を指差しながら)異常なしなら、何よりだ。他の場所で何も起こっていないかは分からないが。(伝令精霊も借りていないので、知りようが無い。しっかりと整えられた石畳を踏んで、吊り看板や壁にある建物の名前を逐一確かめる。こうしないと現在位置すらあやふやになる。この辺りは住宅地なので、ある程度振られた番号などを把握していなければ意味が無いが。)隠れているやつはどうしようもないな。新しい情報も入ったようだけれど、次から次へと出てくるしなぁ・・・(あの魚もまだ終わっていないのだろうし。呟き、肩を竦めた。) 2009/03/21 (土) 23:21 ◆ ゾンド :(かなり入り組んでいる住宅地内の、手で指し示されるままの方向へ、同僚に追従するかのようにゆっくりと移動を始める。吊り看板の豊富さは市場通りと比べるとどうしても控えめではあるが、番地や通りの説明や住人のパーソナリティの記されたそれは、各々の個性の発揮も相俟って、少年にはどうしても不可思議な幾何学形状とばかり捉えてしまう。)それを踏まえて、不審者であるかどうかの判別材料とさせて貰った。攻撃の要となっている方は、とてもけたたましい人格と聞いている。……かれらは、組織で動いているようだから。薬品を使うという手口にも、そもそも大なり小なり強靭な支援母体を必要とする。恐らくは、市内の何処かに彼らが共有する根拠地を作っているだろう。(水路の向かい、やや大きめの直方体の頭が星空の下方にくっきりと浮かんでいて、この少年はそれが気になるようであるらしかった。何度か聞かされた、重要な施設だという情報を鵜呑みにしているだけなのだが。時折行儀悪く首から上を向けて、その建物に気を配っている様子が散見される。) 2009/03/21 (土) 23:38 ◆ セレス :(地図は持って来ていないが、何度か歩いた土地なので大まかに――少なくとも要塞に帰れる程度には、地理を把握している。進む先に、そう幅の無い、舟が通れるかも怪しい太さの水路が通っていた。)薬の方は、ともかく・・・殺人事件で騒がれている方はどこに隠れているのやら。あの性格なら、隠れ続けるのは難しいと、思うんだがなぁ。(昨日も忽然と姿を消したらしい例の死刑囚のことを思い出せば、勝手に眉が寄る。それから視線をついと後ろ、少年の方へと向けて、)あそこに、何かあるのか?(ゾンドが何度目かにそちらを見たときに、自分もそちらを見てから訊ねた。) 2009/03/21 (土) 23:47 ◆ ゾンド :隠遁場所に懸案されるものとして、一つは……日中は、……水中に…潜んでいる?(立てた人差し指を頬に当てながら呟いた言葉は、不審者の姿形を実際に知り得ていない少年が言うような、正規のは採用されようもない信頼性に大きく欠けた推理であろう。その根拠とは、水中に逃げたという一つと、日中の水上はどこを探しても見付からないという二点だけである。)……あなたにも、親という祖先は、居るの?(即答に近い素早い返事ではあるが、その意味はあまりに漠然としていた。警邏の足を止めず、白く細い指先ははっきりと水路の向こう岸を指している。向かいに立ち尽す広い敷地の建物は、この街に数少ない孤児院の一棟であると聞かされていた。) 2009/03/22 (日) 00:01 ◆ セレス :水中・・・は、あの形態では難しそうだが・・・そうでも考えないことにはな。でもこの町には水蛇もいるし、潜って探した人も、いるんじゃないかな。まあ我々が行かないところにいるのは、間違いなさそうだけれど・・・(それはないだろう、と笑い飛ばしてみたかったが、要塞が全力で探しているのに事件を起こすとき以外は尻尾を出さない相手だ。同僚の少年が言うことも、もしかしたら、の可能性の一つには入れておくべきだ。相手は人間ではないことだし。)――――は。(返答には、思わず足が止まった。コッとぶつかる音を響かせて、停止した男は白い指が示す建物を再度見る。そうであると分かる目印がなにもなかったので、それが何かはやはり、分からずじまいだった。)・・いる、よ。けれど今はもう、(返答は二種類だ。一つは、実体を持つ種であるから、両親を介して生まれたとの事実。もう一つは、存命ではないという現状。生きていない、と続けそうになって、少々驚いたような顔で、口元を覆った。こんなにはっきりと、死んだと認めそうになったのは初めてだ。まだ諦めきれていないというのに。)・・・・三人。(時間をかけて飲み込んで、答えを訂正した。) 2009/03/22 (日) 00:13 ◆ ゾンド :では、街の内部ではないという事になるのでは。それに魔物の活動によるものか、水蛇の活動にも鈍りが見られるらしいから。(足を止めるのに同期して、だいぶ背丈の低くなった横の影も歩みを休める。脚の停まりは急なものだったから、足腰から上の半身が振り子のように緩く波打つ。)……………。「今はもう、三人。」………増加したの?(呆気に取られているように見えるのも、此方の質問の内容から切り出し方から全てが唐突であったから仕方ない。時間を待ったのが即ち訂正の意であることを素直に誤解して、表情も変えずに主旨の確認を求めた。異種の溢れるこの国において、それが冗談であろうと気付かずに素通りして、そのまま信用してしまいかねない。)そう……。あなたにも、親が居た。(普段通りに落ち着いた声質の中には、確実に安堵が含まれている。) 2009/03/22 (日) 00:30 ◆ セレス :・・・いや。今はもう、誰とも会っていない。(眉を下げて笑い、回りくどくした表現を言葉にするとようやく歩みを再開した。目前になった水路の向こう岸を指差して、渡れるか、と首を傾げつつ)祖先というと、違うな。血の繋がりのあるのは、二人。育ててくれた人も入れると、三人になるんだ。増えたといえばそうだが。親と言われて思い出すのは、それで全員。・・・・どうしてそれを?(貴方は、とそのまま聞き返したかったのだが、普段から謎の多い相手である。安堵の含まれた声音にタイミングを逃して、さっきの言葉同様飲み込んでしまう。) 2009/03/22 (日) 00:38 ◆ ゾンド :育てる。それは、前二者の代償要員や………義務……では、なくて。(水路の向かいに現れた建物は、灰色ばかりの色合いに加え光源の少なさが災いしてか、ここから眺めては一見して牢獄のようである。それでも最低限手入れの行き届いた佇まいを保つ、この国においては十分に上等と言えるそれだった。運営や出資者がまだしも裕福な層の人間であるのか、それとも喜捨が多い街なのかも知れない。渡るには、また路地を下って低い所に出るしかないだろう。そこから舟を借り、戻るように水路を上ってそちら側となる。)子孫は……あなたを一過性にも『子』と表現するのは、些か不適当かもしれないけれど……。あなた、あなたに限らず、多くの人々にも、子供の時代と言うものがあって、著しく知能や生活能力に劣るその段階から、現状のように変化を遂げたという事実が……これは失礼な表現だとは弁えているけれども……奇異に思えたから……。(問いの理由をそのまま包み隠さず口にしては、また茫洋と向こう岸の観察に戻ってしまう。) 2009/03/22 (日) 00:58 ◆ セレス :両親と彼は、全く別物だよ。血は繋がっていないが、私の高峰国民としての存在は一応あの人の下にあるし・・・親と言う以外なんと呼べば良いのか知らない。(答えは手短に返して、もう一度、ゾンドが興味を持っている建物を仰ぎ見た。何かは知らないが、しっかりした建物なので大きな組織が管理しているのは確かだ。不思議そうにしながら、視線を同僚へと戻す。)改めて考えると、奇妙かもしれないが。多くはそうだよ。子供から大人へと成長し、また子を成して、育てる。時間とはそれだけの力がある。(先ほど、親の、種の死亡を認めそうになったのも、多分それだ。相手が『奇異だ』としたことを、こちらは当然のものとして――当然なのだが――あっさりと言葉を返す。)とりあえず、何処か船を出している警邏隊と合流したほうがよさそうだな。・・私はともかく、貴方はそろそろ要塞に戻らないと、何か起こったと思われてる頃だから。(立ち居地からして先ほどとは逆に、ゾンドの後ろを歩くことになっていた。提案して水路の先を指差すのは、多分あっちにいるよ、という確信にはなりきらない考えから。) 2009/03/22 (日) 01:11 ◆ ゾンド :向かいの建造物も、直接の血縁関係にない子の養育を主眼に据えた施設と聞かされた。効率を上げるためか、一箇所に集中して援護しているみたい。…………あなたもそちらに、当該していた?(それが一種失礼な質問に当たるという意識は、所属する同僚隊員の傾向からか希薄のようである。同僚と視線を合わせようとしたようだが、暗夜の為かその精度はあまり良くはならなかった。)しかし、現実に確認するのはとても難しいことに思える。種族によれども、世代にして数回に過ぎないのでは。それが広範に事実と認められているのなら、それがかなりの長期に渡って連綿と続けられていたとなる。(語っている意味はあまりにも一般的、常識の事物に過ぎて、この少年以外の人間にとっては恐らくまるで新鮮さがない事であろう。同僚からいともあっさりと返された諭すような意見が、それを如実に物語っている。)……そうしたいと思う。興味を引く構造物に遭遇して予想外の遠出となったから、我々の歩速では高確率で定時報告に間に合わない。(示された先を疑いもせず平然と進むのは、信頼でもない本能的なもので、その方角は結果的に全くの正解となった。警邏隊のゴンドラが二艘、低くなった段差に留め置かれている。ただ、近場に兵の姿は無いようだ。) 2009/03/22 (日) 01:35 ◆ セレス :(説明に成る程と頷いて、次いだ質問にきょとんとして視線を降ろした。ふと息を吐き、笑って)いいや。私は、生まれも、育ちも一人だ。そういう集団には所属しなかったし、孤児という表現もあまり合わない。・・・・ゾンド、言っておくがその問いは軽く口にしない方がいいぞ。気にする人もいる。(自分は該当しないと述べてから、簡単に注意した。この男は、その質問自体は気にしない性質なので軽いものだが。)私も直接確認したことが無いが―――私の知り合いにいる妖魔は、自分の友人だった人の五代先と話をする機会があったらしい。これは稀な例だが。(ずっと続いているという証明にはならないが、近いものはある。千年生きるエルフならば肯定は容易いだろう。そう紡いで・・・前方に見えた舟に一度立ち止まったが、無人のそれに緩やかに、首を傾げる。)何処に行ったんだろうな、仕事中だろうに。(探すしかない、と少年の方も促して、ふらふらしていた火を掴んで引き寄せながら辺りを見渡し、歩みを再開する。) 2009/03/22 (日) 01:47 ◆ ゾンド :(ころころと表情を変えるひとの面相を、こちら側は逆に首を傾げながら能面のように見詰めていて)そうか、了解した。希少な意見を感謝する。(何やら甚く感心した素振りで、過剰にも二度ほど首を縦に頷いた。)………論として同意できるけれど、それはとても遠大で、自身のことには当て嵌め難い。けして理解できない訳ではないが……とても、感覚的に、言語に絶する。(無表情はそのままで居ても、いざ話に聞けば、それだけでもぞわぞわと身震いをする。とはいっても人間らしいそれではなく、羽毛動物が毛並みを整えるような違和感のある形であったが。)………………。(腕を水平に伸ばして、セレスの表情を無言で見上げる。ゾンドの指差す先に、三艘目があった。しかしそれはあろうことか天地が真逆に転覆している。そしてこの位置からはけして見えないが、水路側の低い縁、水際の煉瓦壁にはべっとりとタペストリー状に血痕が塗り込められていたのだった。)………他の警邏隊を探索。通報して来ようと思う。(すぐさま少年は同僚の応答も聞かぬまま、舟の裏返る水路とは逆方向の高台へと登っていって。………この事件の担当や報告、つまり管轄は、別の隊の帰属になったようだ。その後、少なくともツーマンセルの少年の方が請け負った任務は軽い事情聴取のみで、夜が明ける前に要塞へ帰されたらしい。) 2009/03/22 (日) 02:06 ゾンド【退室】 (2009/03/22 (日) 02:06) HIGHLAND FORTRESS 峠の要塞(閉鎖しました) http://h-f.sakura.ne.jp/kariken/index.html BACTERISM MATRIX http://bacterism.matrix.jp/ PCキャラページ http://tryx-quad.sakura.ne.jp/zond.html