題名:いちご八年 登場隊員:ダンテ・ゾンド(ウィシドフィード要塞) ダンテ【入室】 (2009/05/26 (火) 22:24) ◆ ダンテ :……嬢、寝るなら、お部屋に戻りなさい。「はぁい、」(素直な返事をしておきながら、金髪の子供は起きそうに無かった。外では雷の轟音が、不規則に鳴り響いて居るのに長閑な寝顔を曝している。毎日多くの書類と戦っているのだから、余程疲れているのだろうことは理解出来る。無理に起こすのも気が引けて、膝の上の頭を撫でながら、)ここはベッドじゃないわよ、(呼びかけては見たけれど、瞳は開かず寝息だけが聞こえる。周囲の植物は雑多なまでで、あまり褒める気にはなれない庭園の外観にしても、居心地まではそう悪くない。蔦に巻かれているベンチの上で、祭服の男はつられたように欠伸を漏らしたけれど、眠い訳ではなかった。) 2009/05/26 (火) 22:28 ◆ ダンテ :(――また、何処かに雷が落ちた。定期的に夜を裂く光をぼんやりと見た後で、溜息を吐いて、子供の背を叩いて揺らしてみたが反応がない。次は先刻より長めに溜息を吐き、子供を裏返す。その鼻を摘んで、暫くして、子供はがばりと起き上がった。これはよく効く。)おはようございます。寝台まで、運びましょうか?「……あれ?寝てた?」……寝てました。(瞼を擦る人を呆れたように見遣る。運ぶかと立ち上がったが、要らない!と猛烈な勢いで拒否られたので渋々座って、)「はぁ…かわいい女の子のなら良かったのに…」(オヤジみたいなことを言いながらふらふらと歩いて行く背を途中まで見送ってはみたが、転ぶ音も聞こえないので放っておいて、ロザリオを手首から外す。指先に掛けては空につるし、) 2009/05/26 (火) 22:57 ゾンド【入室】 (2009/05/26 (火) 23:17) ◆ ゾンド :(持ち歩く主の、首の太さほどはあるガラスの瓶壷を、腰の前辺りで両手に抱えていたから、扉をそのままでは開けられずに居た。塞がった両手を使うという物理的に無謀な手段は潔く諦めて、瓶をことりと床に置き、そうしてようやくパーティルームの扉をゆっくりと開く。しっとりした湿気を含む、濡れた空気の庭園を進んで、サロンの右端のあたりを選んで歩いていたけれど。)―――――こんばんは。(よく見掛ける司祭服が一人静かに涼んでいるように見えた。彼の穏やかな空気を壊さないように、なるべく小声で、何の変哲もない挨拶を空間に響かせて、ともかく彼がこちらに気付くまでは、部屋の隅に佇んでいるだろう) 2009/05/26 (火) 23:21 ◆ ダンテ :(ひゅ、と鎖を放って手に戻し、十字架を見下ろした。蛇の円だなんて、酷く分かりやすいものを選んだものだ。悪魔は蛇の姿を取って現れるのに。ふ、と息を吐いてから、磨くように指先でなぞっては見ても、奇跡を起こせるわけでもない。両手を組んで祈りの形を作って、男は手の甲に額を触れると俯いた。)……蛇の御名によって。キス・キルリラ…我らが神、我らが王、我らが父、我らが母、我らが恋人よ。我ら、(些細なほど僅かな声量で唱えられる祈りだった。まだ普通に聞ける、変哲もない宗教の言葉の羅列を途中で打ち切って、幾度か瞬きをした男は小さな人の気配に視線をやって、)……ごきげんよう。どうなさったの?(首を微かに傾けた後、猫のように隅を選んで佇む少年に微笑み掛けた。) 2009/05/26 (火) 23:28 ◆ ゾンド :(意外に距離の離れたひとの囁きは、唄のようにも聞こえる。祈りという文化や慣習に頓と疎い少年は、それらを一種の諺か、短い子守唄のようにしか考えていない。目を二三回瞬かせて、司祭姿の黒い人物へと直線的に歩み寄る。髪に隠れた眼を見ようとして、少しだけ小首を傾けた。疑問符の意図の介在しない仕草だ。)先日は、見舞いにお見えになって下さり、ありがとうございました。(あくまで義務的で、事務的な口調にて、礼のような言葉は空気を振るわせる。)先日、要塞の、訓練生の方に、やまいちごを頂きました。それを使って、ジャムを作ったのだけれど、こちらに置かせて欲しく、参りました。(相手がまるでこの部屋の主のような口振りではあるが、正しく先客の人物であったので、少なくとも少年の内には、矛盾や齟齬などはない。) 2009/05/26 (火) 23:37 ◆ ダンテ :(近付いて来た少年を見守るような目付きで見ていて、彼が無事、医務室から復帰出来て居たのは事実らしいと安堵しながらその言葉を微かに笑って、)包帯、取れたのね。おめでとう、(やや傾いた視線を向けられても、前髪は右の顔を覆い隠していて、彼を見据えるのは左目だけ。)やまいちご?まぁ、あなたが作ったの?凄いわねぇ、(なんだか変な言われ方だとも思ったけれど、それを指摘するのも野暮な気がして頷きながら、ん、と小さく漏らして周囲を見回し、)いいんじゃないかしら……、小さな、テーブルもあるようだし。(左手を浮かせて、方角を指差してはみたけれど、) 2009/05/26 (火) 23:49 ◆ ゾンド :(包帯、と言われて、左手を瓶の保持から役目を替わらせ、自分の頭の、淡く白い光沢の出来ている部分をさわさわと撫でた。不要なまでの再確認の様子にも、乱れや淀みはない。全くの健常体だった。)おかげさまで。戴いた勿忘草は、残念ながらもう萎れてしまったけれど。リオさんは、まだ執務室でしょうか?(かつて野草を摘んできてくれた彼女へ、このジャムを渡すのも一つの目的であった。居なければ、パーティルーム常置のお菓子や夜食にするしかないが。感嘆の呼気が宿ったダンテの言葉には、逆にこちらは先と別の方向に首を傾げてしまう)我々では、ないけれど……。やまいちごを作ったのは、バラ化の半木本類。ここまで精巧な果実を作るには、我々では少なくとも8年以上を要する。(ともあれ、このままガラス瓶を持ったままでは、不慮の事故で取り落としてしまう事も有り得なくはない。指差されたテーブルでも、やはり落下の危険があるだろう。じっと周囲を見渡して、結局壁際の食器棚に含ませようと、脚の舵を切った。) 2009/05/26 (火) 23:59 ◆ ダンテ :仕方が無いわ。命あるものは、老いていくのが理なんですって。(人伝みたいな言い草の調子は何処か不満があるようだったけれど、表情自体は穏やかな平静のままで、続いた言葉には僅かに思案するように上方を見た後、視線を少年に戻して、)恐らく、未だ、居ると思うけれど。見に行きましょうか?(首を傾げて取り合えずは立ち上がって歩き出そうとしたけれど留まって、)……ふふ、植物を育てるのは、そうね、時間が掛かるわね、……ジャムを作ったのも、あなたでは無かったの?(どちらでも良かったけれど、ついでなので問いかけておいた。少年は瓶の在り処を棚に選んだようだから、此方はややその後方を追うようにして歩き、) 2009/05/27 (水) 00:10 ◆ ゾンド :爬虫類や両生類などは、寿命ある限り成長を続けます。しかしながら、寿命がある限り死のリスクを追い続けるのだから、確かにそうであるかもしれません。(こちらは食器棚に相向かい会う格好な為、ダンテとは背を向けながらの会話となる。それにしてもあまり噛み合わない、互いの老いに対する思考だった。男の言い分がどこか他人事である為か、それとも少年にとって、まだ老いという感覚は本能的にも鈍い為か。)あ……、いえ。もしご就寝中でおられましたら、どうか取り次がないで下さい。夜も、もう、遅いですので。(男は、少女を呼びに行こうとしたのだろうか。想定もしていなかった、宜しくない事態に少しの間硬直して、睫を伏せて静かに断りの返事を入れた。起きているならまだしも、眠っているひとを態々起こすまでの用事でもない。下手を打てば立腹すらされかねないと思ったのだ。ジャムの瓶詰めは、食器棚の上部、ガラスで見とおしのいい部分に入れたから、少し探せば誰の目にも入るだろう。)はい。ジャムに加工したのは、我々です。図書室で教本を手に入れるまでは、失敗ばかりでしたが。(後ろを振り返ると、ガラス張りに飛び込む空の景色には、雷が失われている。雲の流れも早く、びゅうびゅうとした風が窓に己を叩きつけていた。) 2009/05/27 (水) 00:23 ◆ ダンテ :それに比べて、長寿種は不思議よね。全く、変わらないなんて…、(羨ましいとは言わないのは、男の性が、それを元より望まないから。人で良かったとも、言いはしないけれど、ともあれ噛みあっていない会話には、それほど気にしては居なかった。その細い背と、ややサイズがあっていないのか余っている丈を、無感情な目が見下ろす。)――そぉねぇ。眠そうにはしてたけど…(此方は日々妙な我侭に付き合わされていたりするので、彼の言い分には半ば残念そうに頷いた。その色もすぐに消えて、)本を読んで、一人で?まぁ。偉いのねぇ。嬢も少しは見習えば良いのに、(振り返った瞳とかちあって、男は瞳を笑ったように微かに細め、少年の頭をふわりと優しく撫でて、雷のち風の荒い天気に溜息を吐く。)最近、特に荒れるわねぇ。不吉じゃない? 2009/05/27 (水) 00:39 ◆ ゾンド :(前者のそれにこれといった返事はなかったが、代償としてか少年は己の首をこくこくと頷かせた。そして、ダンテの硬質的で好意も悪意も見られない、不思議な視線をほんの僅かに訝ったようである。手元足元のやや長い丈を、手元の袖を握ったりして確かめるが。解れなどの異常は特にないようなので、それはそれで終わってしまった。あちこちこの軍服がようやく手に入ったのが、ここウィシドフィードに先立つバーパジーラの頃だ。)指揮職は、朝も早いと聞きます。戦闘員であり、魔法も使えるひとです。訓練ではお疲れでしょうから、今度また、元気なときにこちらから。(日付の替わった直後の深夜、しかも少女の寝室を尋ねるなど、自部隊の副長が聞けば何と言うだろうか。以前、女性の着替えを感慨無く眺めていたら、ポストに忠告を貰い、ナコト本人からも苦い顔をされた経験を持っている。)成功の要因は何より、本の解説が秀逸だったことにあります。(嬢と呼ばれたひとの心当たりはない。誰だか心当たりを浮かべようと、考えを巡らそうとしたそのとき。ダンテの指先が髪を撫でたので、目蓋を閉じて黙って為されるがままに任せた。少年の髪は、不思議にしっとりと柔らかい。髪と言える撥力には僅かに乏しいか。)山地の天候は、崩れやすいとは、聞きますが……。竜の飛行訓練に、支障がなければいいけれど。 2009/05/27 (水) 00:57 ◆ ダンテ :きっと、喜ぶわ。甘いものは、好きなようだから、(どこまでも礼儀正しい少年を微笑ましく思っていたので、口元にも笑みが浮かぶ。目をふい、と瓶の方へやりながら、)ジャムを使って良いかしら?お菓子でも作ろうと思うの、(それでも得られる材料なんて、ここでは多くを求められないと思いながら、思いつきの言葉だった。)……本は良いわ。アタシも、好き。没頭できるものは、素敵…此処の図書室は、広いのかしら?――未だ、行ったことが無いのだけど。(読書も趣味な人は前半をうっとりと呟いて、後半に首を傾げた後に、瞳を閉じた少年に気付いて薄く笑んで、男はしゃがみこんだ。彼が目を開いた時には、三白眼が同じ位置にある筈だ。)……目を閉じるのは、口付けの時だけよ、坊や。――天候に、左右されるようないきものなのかしら。竜は、(人間である騎士のことは除外された発言の後に、頭を撫でていた手を滑らせるように頬に添え、じ、と相手を見据えただけで時が止っていた。お互い同じ色に見えるけれど、確実に違う種というものを、確認するかのように。) 2009/05/27 (水) 01:17 ◆ ゾンド :そう仰って下さると、こちらも、自信が持てます。(気付いたときには、背の低くなっていた――屈んでいた彼の瞳は、とても黒目の面積が狭いと思う。少年は黒い瞳と合い向かい、じっと見詰めているように見えてはいるが。)是非、使って下さい。日持ちはすると思いますが、それでも食品です。湿気が強く、暑い季節にならないうちに。厨房にも、ジャムの瓶を保管しておきました。流しの、足元の食器棚です。直射日光に当たらない場所がいいかと、思いまして。(触れる程度に頬を抑えて、自身をまるで値踏みしている、男のまだ感情という温度の感じる虹彩と比して、少年のそれはどこか虚ろで義眼めいた、作り物の匂いを醸し出している。)この階下、要塞二階部分に図書館がありますが、広さは、平凡なものかと。品揃えは、人間の運動や竜との触れ合い方を題材とした、実用書や小説が多い様子です。(少年は、男が頬に触れたままでいるのにも関わらず、首ごと瞳を窓の外へと向けた。男の手は、即ち首筋に当てられる。)竜というよりは、騎乗する人間……訓練生達が落雷や強風、雹の打撃などに耐えられるかという点が、心配です。(回されていた首は戻されて、再びダンテの表情と相対する格好となる。少年の手も酷く色素の薄い色合いをしていたが、その体温の低い手を、頬に在る男の手と重ねて、視線を外すように目を伏せた。)すみません。我々はまだ、用務を控えています。そろそろ、また、行かないと。(後ろへ退がるように、ダンテの緩い戒めの手の内から、子供の体はするりと抜け出てしまう。部屋をのろのろ戻りながらも、名残惜しそうに二三度立ち止まって後方を確認しつつ、元来た扉を出て―――がちゃりとした金属音が、最後に残された。) 2009/05/27 (水) 01:35 ゾンド【退室】 (2009/05/27 (水) 01:35) ◆ ダンテ :ええ、ありがとう。是非、使わせて貰うわね、(厨房なら、己は戦闘員のうちでも通う方だろう。棚の上のものに手を出して、減らしてしまうようなことは無いことに安心して微笑んだ。)……なるほど?じゃあ、見て回るようなことも、無いのかしら…(それは独り言に近かった。先ずアルケミストに突き出せば、間違いなく金目になるのであろう人を極近くで知っているから、書物を読んでまで竜を知ろうという熱意は持てなかった。元より神学に生きる人は、)――そういうのも、あの方々にとっては、試練なのではないかしら。土竜に噛まれた人が居るって、聞いたわ。(相手の手が己に重ねられれば、ふ、と男はただ穏やかに笑んだ。)お気をつけて、(逃げるような姿勢に、意地悪な笑みを浮かべていた人は言葉を彼に投げ、己もゆらりと立ち上がった。此方は随分暇なもので、そのどこか緩慢な動作の去り方を見送った後は、何、作りましょうね、とぼんやり呟きながら自室への扉を選んで、) 2009/05/27 (水) 01:48 ダンテ【退室】 (2009/05/27 (水) 01:48) HIGHLAND FORTRESS 峠の要塞(閉鎖しました) http://h-f.sakura.ne.jp/kariken/index.html BACTERISM MATRIX http://bacterism.matrix.jp/ PCキャラページ http://tryx-quad.sakura.ne.jp/zond.html