題名:バリュウサン 登場隊員:ユリウス・ゾンド(ウィシドフィード要塞) ユリウス【入室】 (2009/06/25 (木) 23:01) ◆ ユリウス :(きゅぽん、と小気味いい音が薄暗い通路に小さく響いた。数々の大部屋をつなぐ蜘蛛足が密集する、胴体とも言うべき交差点である。当然一通りも多い場所なのだが、時間も遅くなってきた今は軍靴の音もそれほど聞こえてはこない。そんな場所に……唐突に、煙が上がった)――おお、出てきた出てきた。成功ですね(煙の出所は、緑色の長衣をまとった黒髪のエルフである。その手に持った小さな半円形の物体、さらに良く見ればその頂点に穴があいていて、そこからもくもくと煙が発生しているのだ。煙は徐々に広がっていき、交差点を満たしていく。――なんというか、実に迷惑な感じである) 2009/06/25 (木) 23:06 ◆ ユリウス :(掌に収まるほどの小さな道具なのだが、いったいどうやって詰め込んでいたのかと思うほどに煙はもわもわと溢れ出してくる。要塞の中はわずかに風の流れがあるため、それは通路から周囲の部屋へと流れていくが、数本の通路だけはそれを阻むかのように風の流れができていて、煙が向かわないようにされていた。やっているのは当然ながら、この男である)ん、そっちには行かないようにね。土竜さんたちが居ますから(風に語りかけるように小声で空に言葉を紡ぎ、流れていく煙を見送った。それはあまり長く煙の形を保ってはいないようで、通路を少し行ったところで霧消して目には見えなくなるが、当然ながら交差点は煙にのまれてすっかり五里霧中の様相である) 2009/06/25 (木) 23:16 ◆ ユリウス :(通路を歩いてきた竜騎士見習いが途中で漏れ出してきた煙に気づき、泡を食って煙の中に飛び込んできた。煙を掻き分けて進んでみれば中央にいるのは車椅子の男で、何が何やらと言った風の顔をした青年ににこりと笑いかけ)ああ、気にしないでやってください。少ししたら終わりますから……火事では無いですよ。念のため(そんな風に言い、緩い冷風をひとつ撫でるように浴びせて追い払った。狐につままれたような顔をした見習いの背中を見送って、さらにもうもうとあふれ出る煙を周囲へ送るために緩やかな風を生んで通路へ流していき――) 2009/06/25 (木) 23:31 ゾンド【入室】 (2009/06/25 (木) 23:49) ◆ ゾンド :(煙にしても、妙なものだった。あちこちの通路の前後を塞ぐほどの煙が充満しているとあれば、通路に限っても異常な状況に気付く者は少なからず存在する。火元がボヤか火事などであれば少なからず人間には有毒な物質が含有されている筈で、このような空気の逃げ道の少ない要塞であれば、不調を訴える人が十数人規模で出ていてもおかしくない筈なのに、この煙は吸っても無害、目に入っても無害なのだ。)そこにいるのは、だれ………?(奇妙奇天烈なコロイドを辿って右往左往していた人物は煙幕の濃淡の差を辿って、ようやく煙の根源を見つけ出したようではある。ただ、まだ彼我の距離は直線的にしても長く、通路の奥まった位置から伸びる声は悪戯の当人を分別できていない。) 2009/06/25 (木) 23:54 ◆ ユリウス :(形こそ煙、ではあるが、刺激物ではないようだ。人によっては肌にちくりとした感覚を覚えるかもしれないがその程度で、成分は「これ」に精通した者でなければ解るまい。――あまり感覚が鋭かったり、嫌われているような人にとってはとてもアレかも知れないが)――ん?(同僚の声が空気を震わせて男の肌に届けば、光を持たない目をそちらに向けて煙の壁の向こうを見た。問いかけの声には、見えはしないだろうが小さくうなずいて)ナシュカの、ユリウス。――平気ですか。噛まれたり、していませんか。(返した言葉は、周囲を取り巻く煙に輪をかけて妙なものだった) 2009/06/25 (木) 23:59 ◆ ゾンド :(進んでいる通路はほぼ直線だが、それでもあちこちのランプが煙で曖昧にとぼけていて、しかも設置してある間隔が不均一という特徴が歩みを滞らせている。硬くひんやりとした土壁に手を沿わせながら、牛歩と似たり寄ったりな速度で進む。)噛む?………飲み込まれては、いるかもしれないけれど。噛まれた覚えは、特にはないが。(聞き覚えのある同僚の声は、背筋を毛羽立たせていた警戒心を解くに非常に効果的だった。緊急の出来事ではないと安心したか、足を止めて周囲に煙る煙幕を指で掻いてみるが、目立った反撃もないし、水のように抵抗も受けない。掌を中に浮かせた格好で煙の粒に神経を凝らしてみたけれど、何一つ精査な要素は掴めなかった。)なぜ、あなたは、このようなことを、ここで? 2009/06/26 (金) 00:10 ◆ ユリウス :(わずかに煙が薄れてきたのは、そろそろ半円形の中の小さな容器から煙が出きったということだろうか。近づいてきたゾンドに対してこちらも車椅子を動かして接近し、煙をわずかな風で吹き飛ばして周囲に霧散させればようやっとお互いの姿が確認できるようになった。改めて会釈をひとつ、向けて)噛まれていないなら、よかった。――そうですね、これを見てくれれば早いかな。(問いかけの言葉にそう返して、土壁からつまみ上げたのは小さな虫けら。…それはどうやらすでに命を失っているようで、足を小さく丸めて固まってしまっていた。それをゾンドと自分の間の眼前に持って来て)殺虫剤、なんですよ。ごく小さな精霊を用いた、ね。 2009/06/26 (金) 00:15 ◆ ゾンド :(通路の一道中で立ち往生して、掌に流れ行く煙の一房一房に目を凝らすという結実の見こみの薄い作業を当ても無く続けている間に、涼やかな風に帳が吹き散らされて明瞭な視界が戻った。魔力で灯るランタンの元に現れたのは、ややり声で覚えていた通りの姿。貰った会釈に、こちらも無言で頭を垂れた。車椅子のひとと背後で椅子を押す女性の、計二方向に。)殺虫剤?……確か……バル…スァーン、という、名前で、これは伝聞ながら、燻煙で殺虫するらしいものなら、聞いたことがあるけれど……。これが、そう?(人間やそれに近い種が吸ってもいいものかどうかは、答えはすぐには出ないが、彼が今までその中央に居たのだからと一応の安心をする。よく足元を見てみれば、細かな羽アリなどが仰向けに転がっていたりして、なるほどと一つ頷いた。) 2009/06/26 (金) 00:26 ◆ ユリウス :それとは違います。名前は似ていますけどね(くすり、と笑って相手の言葉に首を振って否定の意を示した。片手で持っていた容器を相手に見えるように持ち上げて、木製のソレのてっぺんに開いた穴から弱弱しく煙が漏れるのを見せる。それはさらに勢いを弱めて、やがて途切れてしまうが)普段から空気中に漂っている、あまり害のない精霊なんですけどね。無数に集まれば、虫くらいは殺せます。精霊に嫌われる体質だったりすると、噛まれたりしますけど…吸っても無害ですし匂いもないので、私の里ではよく使われていましたよ(そもそも乾燥した地域だったので虫に困ることもあまりなかったのだけれど。そこまで言ったところで、しかしねえ、と首を曲げて困ったように笑い)馬だとか、竜とは相性が悪いようなんですね。噛みついてしまう。怪我をするほどのことは無いんですが、痛む。…そうすると、暴れたりするかもでしょう。だから注意して流したつもりなんですが、土竜に届いていなければいいんですけどね… 2009/06/26 (金) 00:31 ◆ ゾンド :(表面には薄い木目が微かに浮かんでいるから、それが木造の小物であることは乏しい光量でも認識できた。腰を曲げて両手を膝に当て、掲げられた容器の目の前に顔を持って行く。その瞬間が、だいたい煙の断末魔だったようだ。)なるほど。馬は、それこそ体中に虱や蚤等の寄生虫を乗せているから、巻き添えの被害に遭ってしまうのでは?(粗方の説明を聞いたが、なるほど、夏場には頼りになりそうな小道具である。己の部隊長には必需品になりそうなものだが、精霊に関する事柄で一律に使い勝手が良い完全無欠なものでもないようだ。)……竜については、わからないけれど。扉の立て付けがしっかりしていれば防げるようなものであれば、それは大丈夫ではあると思う。……それは、通常の、燃焼を基点とする煙とは全く性質が違うもの?空気より軽ければ、通路が曲がりくねっている土竜の巣へは、そう簡単には届かないと思うけれど。 2009/06/26 (金) 00:41 ◆ ユリウス :まあ、馬や竜のほうも嫌がって逃げますから、そう大事にはならないらしいんですが。変に逃げられてしまうと…ほら、土竜などは大変でしょう。一応、道の繋がりは意識して…届かないようにしたので、大丈夫なはずですが(人差し指を頬に置いて、小首を傾げながら思案するような表情。兵士たちが出動していない以上、少なくとも竜が暴れ出したなどと言うことは無いようだが)煙、というか、精霊が集まって形になったものですからね。どこへでも行きますが…大丈夫だといいなあ。大丈夫かなあ。(すっかり流しきった後で、改めて不安そうな顔をするエルフであった) 2009/06/26 (金) 00:47 ◆ ゾンド :噛むものなら、それは、逃げると思う。……土竜は確かに、新たに幾つもの坑道が増えてしまったら、上下の階に落盤などの危険が増えてしまうかも。(ただ、異常を意味するような喧騒や怒鳴り声も、ここでは全く聞こえてはこない。音を吸収するものの少ない土壁の通路はそれ故、ひとの聞こえる帯域の音波をロス無く伝え易い筈だが。)要塞の中で実験しないほうが、良かったのかも。以前に落盤事故が起きた鉱山の入り口などで行えば、ひとや竜が居ない分、都合が良かったのかもしれないが。(エルフの不安げな表情は、ランタンで作られた陰影によって余計に深刻そうな面相に見えたのかもしれなかった。訓練生が横から見ていようものなら体調不良を心配されても仕方の無い相手の様相をよそに、)我々がこの精霊を確認して既に数分は経っているけれど、騒ぎの音が皆無という事は、そう大事には至ってないという証拠として捉えていいと思うけれど。(フォローしたつもりのようではある。) 2009/06/26 (金) 00:59 ◆ ユリウス :……今のところは、大丈夫みたいですね。そのうちに散らばってしまうから、半刻もたてば平気だと思いますが……そうですね、迂闊だったな。(どうにも虫が多いのが気になったらしい。自然主義の里の出なので虫そのものは嫌いではないが、あまり多いと気が滅入る。ふう、と小さく溜め息をつくと、周囲に溜まった煙を改めて涼風で吹き流し)虫はおろか、馬だろうと竜だろうと退散させる、というのでね。ついた名前が馬竜散、と言うのですが。……私のふるさとでは良く使われたんですけどね。知らないかな。(どうやら知名度は低いらしい。少しの間周囲に喧噪が生まれていないか注意して首をめぐらせていたが、とりあえず何もないことを確認すると改めて安堵の息を吐いた。目前の相手に、すみません、と小さく謝罪の言葉を向けて) 2009/06/26 (金) 01:04 ◆ ゾンド :精霊もやはり、あのように大群集となると、気が強くなるものなのだろうか。(一陣吹いた疾風によって、黒髪の房があちこち翻ったけれど、抑えるつもりも整えるつもりもまるで無かった。風の過ぎ去った方の通路からだんだんと煙が薄くなって、みるみる内に煙幕の存在が掻き消えてゆく。とりあえず近場には、さきほどの馬竜散の効果を含んだ精霊は退散したようである。)ん……バルスァーンも含めて、殺虫剤という薬剤があるのを知ったすら、ここ最近だったから。けれど、興味を惹かれる名前だと感じた。両者にはどこか、命名について接点があるのかも。(先の無邪気にも見えた様子から転じて、すっかり消沈してしまったエルフの零す小さな呟きを聞いて、膝を追って屈み、足元に没した小さな羽虫を摘んだ。右の掌に載せて、左の人差し指で息絶えた頭部を撫でる。)大丈夫、でも、どうせ謝るなら、この子たちに。 2009/06/26 (金) 01:15 ◆ ユリウス :精霊はみんな心を持っていますからね。群れれば気も大きくなりましょう。人と同じですね(くすり、と笑って周囲に散らばって行った精霊たちを光のない目で追いかけた。あまりに数が多すぎてひとつひとつの持つ表情は解らないが、彼らも命を持っている。それに続いて、少年のような姿の同僚が差し出した虫にも目を向けた。)彼らも命を持っている。……そうですね、ごめんなさい。――立場が違えば、こう言うことはすぐに起こってしまうんですね。(滅ぼされた虫たちにとっては、己が民族断絶部隊だったのだろう。それを思うと、表情は複雑なものになるが……さほどの間をおかずして、それはいつも通りの微笑に戻った) 2009/06/26 (金) 01:29 ◆ ゾンド :もしかすると、一方向からの、強い意思や命令に盲目になりがちな点なども?(あまり精緻な返答は求めていない、そんな相槌に近い疑問を呟いて。今はもう、通路に細く長く延びる湿潤な空気に紛れて陰も形も無くなってしまったけれど、今のこの手の平にも、何千何百という彼らが居るのだろうか。)僅かな一年や一月で滅びに至る彼らには、自身の死というものが理解できないかもしれないけれども。(目の前の羽虫にばかり目を奪われていた少年は、虫の報せのような違和感を感じてふとエルフの表情を仰ぎ見たけれど、目を移した瞬間にはもう、彼の普段浮かべる微笑ばかりが瞳に映っている。一つ首を僅かに傾げて羽虫を土の床に降ろし、壁に掛かるランタンを見上げた。)己が都合で他者の住まう未開地を拓開してゆくいきものは多い。あなたも含め、我々もその一端として存在しているに過ぎないのだろう。 2009/06/26 (金) 01:39 ◆ ユリウス :どうでしょうね?彼らはああ見えて一人一人違うモノですから、個性もあるでしょう。意志もあります。押し並べてこういうもの、とは言えませんね(独り言に近い相手の言葉に困ったような笑みを浮かべてそう返事。まだその場に滞留している残りの精霊たちに小さく声を掛けて、右手をゆるく振るとそこからわずかに風を起こして送り出した。それはわずかに逡巡するようにエルフの周りをうろついていたが、風に吹き流されて通路の向こうへ散っていく)それでも、殺していることに変わりはない。……ゼフィユの彼らを、どうこう言う分際でもないですね。(だから、彼らの存在そのものを否定するつもりは最初からなかった。ただ、復讐の念だけがある。それを考えると表情に陰がさしてしまうので、ゆるく首を振って思考を追い出した)征服する側が、いつ征服されるか…解らないものですね。しかし、そうだな……そろそろ結構な時間じゃあないですか?今、いつぐらいだろう。 2009/06/26 (金) 01:52 ◆ ゾンド :なるほど、あなたの周囲にも、つい先程まで居残っていた子達が居た。あまり我が強い子ばかりだと、馬竜散の使い勝手にも影響が出そうなものだけれど。(時間を心配し始めた彼の言葉に頷いて、ゆるゆるとその場で方向を転換した。ついさっき、自分が現れた方の通路を戻るべく、道中の経路を頭に思い浮かべる。何の気無しにふと土壁に手を付くと、低い地鳴りのような振動と、そんな雑音が響いて来て眼を開いた。)これは、また………雷…?山の天気は変わり易いと言われているらしいけれど、ともかく、雲が流されて位置が変わる位の時間は経ってしまったかも。我々も、もう自室に戻ろうと思う。 2009/06/26 (金) 01:59 ◆ ユリウス :その時は、まあ……ちょっと団扇でも使って、行ってもらうしかないかな。ちゃんとした商品でもありませんし、使い勝手にはムラがありますね。可愛いものですが(くすくすと笑いながら散って行ったものが見えなくなった後の通路を少し眺めていたが、周囲を満たした空気の振動を肌で感じればあらあら、とあわてたような声を出し)大分時間を過ごしてしまったようですね……明日に差し支えるかなぁ。私も、うん…そろそろ戻りますよ。また朝に…朝礼の時にでも、会いましょう(まじめに出る兵士のほうが少ないと噂のそれに誘うように言って、背後の女に目配せをした。それを契機に車いすが軋んだ音を立てながら動きだし、舗装の半端な通路を動きにくそうに進んでいく。雷の振動が肌に優しくなくて、少しばかり道を間違えた……かも、しれない) 2009/06/26 (金) 02:12 ユリウス【退室】 (2009/06/26 (金) 02:12) ◆ ゾンド :精霊を使うのならば、安定した効能が望めなくとも止むを得ないと思う。……では、また、朝礼で。(がたがたと車椅子の車輪を軋ませ鳴らしながら進んでゆく男とは、途中で別のルートを辿って行く。少年の行き着いた先はまず司令部で、教官と暫しの報告と相談事の後に帰路を進んだようだった。そんな遠回りの後にようやく無事、自室に帰り着いたようではある。朝礼では昨夜の遅くで見かけたエルフを他所に、深夜に湧き出た謎の雲についてあれやこれや相談する訓練生の人だかりが出来ていたが、その実情を知る教官達と待機の若干名は、まるで素知らぬ涼しい顔をしていたのだった。) 2009/06/26 (金) 02:20 ゾンド【退室】 (2009/06/26 (金) 02:20) HIGHLAND FORTRESS 峠の要塞(閉鎖しました) http://h-f.sakura.ne.jp/kariken/index.html BACTERISM MATRIX http://bacterism.matrix.jp/ PCキャラページ http://tryx-quad.sakura.ne.jp/zond.html