題名:逃亡者 登場隊員:セレス・ゾンド(エンデュミリオン要塞) セレス@兵舎【入室】 (2009/11/02 (月) 22:10) ◆ セレス@兵舎 :・・・出て来い。(パーティルームの暖炉の前で、白い軍服を着た男は怒ったような困ったような顔をしていた。他に人の姿は見えないが、発された声は確かに呼びかけで――相手は視線の先、赤く燃える火の上に座っている、何か丸い形の白い光。)ずっと此処にはいれないだろうが。(続いた言葉に、くる、と鳥の鳴き声が返る。先日騎馬隊の文官が連れ帰ってきた精霊だった。) 2009/11/02 (月) 22:16 ◆ セレス@兵舎 :(手を伸ばすと、拒否に首を振っているのだろう、今は両手で持つほどにも膨らんだ体を左右に揺らしてその場から動かない。ふぐ、くく、と威嚇か抗議か、なんとなく不満そうな鳴き声が聞こえる。)・・・悪かったとは思っている。仕方ないだろう、貴方に飛びまわられると困るんだから、(自室に結界を張って閉じ込めておいたのが立腹の原因だと思われるが、生憎と精霊が何を言っているのかは理解できない。来た時から城に帰りたがらなかった彼だが、きっと一日で機嫌を直すだろうと待っていたのだけれど――もう三日だ。単純な子だと皆に言われた彼は、今回ばかりはどうしてか、とても強情だった。)なんなんだ、まったく・・・・・ギルドの方が居心地がいいだろうに。(ギルド、に対してまた妙な鳴き声が聞こえた。それに言葉ではなく溜息を返し、眉を寄せた男は膝を折って屈みこむ。) 2009/11/02 (月) 22:29 ゾンド【入室】 (2009/11/02 (月) 22:32) ◆ ゾンド :(これはてるてるぼうずではない。あまり寒過ぎても組織が動けなくなる性質を持つが、多少肌寒いくらいで劣化はしない。とはいえ、長袖の人間ばかりが通路を流れるスコルピウスともなると、目立つのを嫌う性格は自然にローブをその身に纏わせたのだった。脇に抱える文房具類はさほど嵩張る荷物ではない。ごく一般的な要塞において、少年兵にはやや分不相応な高級品に奇異の目を向けられた子とも少なくはないけれど、ここ白亜の魔都ではこのラインでようやく一人前レベルの品質のようだから、婉曲に言えば、黄金の小枝を隠すブナの森にようやく出会えた所である。―――パーティルームに通じる扉の奥から、ひとの声がする事自体に、違和感はないのだが)失礼します。(わざわざノックを3回打ってそうした挨拶を伴って入るだなんて、まるで執務室扱いである。比較的カジュアルな場に違和感があっても、当人はまるで気付いていない。)……………………。(暖炉の前で沈んだように屈み込む銀髪はすぐに見付けられたが、彼へ向かって何か、掛ける言葉を探し当てるには、もう暫くの時間が必要だった。彼の背後を遠巻きに望んで、押し黙っている。) 2009/11/02 (月) 22:34 ◆ セレス@兵舎 :(自分だってあんな良くわからないところには行きたくない、が、精霊にしてみれば整えられた環境のはずだ。今までは大人しくしていたと聞くのに一体何が悪いのか、城にいる方の文官にも聞いてみたが答えは知れない。)ホルトナ、おいで。(精霊使いではない男は、彼の正しい扱いなどよく分からないでいる。声をかけながら手を差し出したところで、三度の否の鳴き声、それに重なるノックの音に顔を上げた。わざわざそういうことをする人はこの部隊においては極少数だ。どちらも小柄な人で――)・・・おかえり?お疲れ様、(普段と姿が違ったので、判断には少しだけ時間がかかった。こちらを見て黙った様子に首を傾げて、飛ばした挨拶は語尾がやや上がる形となる。) 2009/11/02 (月) 22:42 ◆ ゾンド :ただいま。(短く返事を返すと、硬さを含んでいた白ローブの面相がほんの若干は弛緩していた。こちらに向き直った表情をよくよく確認してみれば、彼は全く健勝の様子である。同僚の持病のようなものだと思っている、頻繁にありうる体調不良の類ではないものと思考を嚥下して、先ほどまで彼が暖炉の中を眺めていたように、自分もセレスの横に屈み込み、同様に燃え散る火の粉をよく観察してみた。)…………あれは、なに?石炭の精霊?(白っぽい、丸いようなもやもやは、まぁ、見た事がない物体なのである。後尾に続いたのはあくまで推測だ。全くのあてずっぽうだが。) 2009/11/02 (月) 22:54 ◆ セレス@兵舎 :(返事が返ってきたのに微笑んだ男の顔はやはり白かったが、元々の色である。こちらはこちらで東から一時帰宅の相手の様子を、変わったところはないかと確かめ、)ホルトナと、言うんだが・・・なんの精霊なんだろうなぁ。預かり物だ。(その後、火が好きなのは知っているが、そういう属性という感じは受けない丸い鳥――今は小鳥ではなく鶏並の大きさがある――に視線を戻し、確かな答えにはならなかった言葉を返す。ホルトナと呼ばれた彼のほうは新しく現われた少年を見つめ返し、くるるるる、と喉を鳴らした。)もう持ち主のところに返してこようと思ったんだが、嫌がっている。 2009/11/02 (月) 23:03 ◆ ゾンド :(輪郭に、微妙にどうにか鳥の面影を残しているくらいの不明瞭な姿形の精霊は、見た所は手鞠くらいの大きさで、実にまるまるとよく肥えている。綿菓子みたいで、取って食べてしまえば美味しそうな甘みが味わえるのではないか、などと迂闊にも思うが、蛍光色にぼんやりと光を放つ精霊はヒカリタケも同時に連想させて、それでやっと思考を押し留めることができた。)なるほど、対話が通じない相手か、なら、実力行使しかないだろう。(やたら物騒な言葉を放てば、やおら立ち上がって暖炉の真横に進む。だいぶ灰のこびりついた、古く頑強な鉄の火掻き棒を手にした。流石に、即座には辣腕を奮う事に躊躇はあるようで、まずはセレスの横で屈み、やはり様子見だ。)…………直接的には、危害は加えないつもりだけれど、……虐めたりして、大丈夫だと、思う?(いざ実行するとなると、やはり懸念は多いのである。) 2009/11/02 (月) 23:15 ◆ セレス@兵舎 :(燃える巣の上で二人を眺めてふぐふぐ言っている鳥は、いつも以上に魔力を得ているが為に、森などにいる本当の精霊並には存在を保っていた。ゾンドが棒を手にしたのを見ると、体を一層はっきりとさせ――首を傾げたらしい。体ごと傾いた。光って透けていなければクッションにも見える丸い精霊もどきは、現時点では彼の発言を殆ど理解していない。)・・・・・怒りはするんじゃないか。殴っても痛がったりはしたのは見たことがないが。(東で会った時もそうだったが、なかなか物騒な発想をする人だった。得物を手にしつつも偵察の姿勢に戻った人を目で追っていて、返答はまた確実ではない。言った後で少々、困った色を強める。)けれど・・うん、酷くは、するなよ。―――貴方、何か飲むか・・・(あまり明瞭ではない声で言い、続けてようやく、帰ってきた人にかけるのには適切な問いが行われる。立ち上がって軍服の裾を直し、向うのは給湯室だ。この状況でゾンドを置いて離れられるのは、彼がそう酷い子供ではないと信じているから。) 2009/11/02 (月) 23:32 ◆ ゾンド :…………爆発したり、サラマンダーに進化したりも、しなくはない?(見たままの感想で言うと、ホルトナとやらを精一杯の力で殴ったところで、人間側の手が素通りするか、もしくは柔らかく弾き返される様子を想像していた。もこもこな鳥型のもやもやが体ごと横に傾いだのを見れば、自分も自然に体が動いてその真似事をする。こちらが傾げたのは、首から上だけの部分であるが。)…アルケミストを含め、多くの未知な事物は、実験という行使を通じて本質を明らかにするものだと、聞いている。(口実というか、抱いている思想、論理的基盤は比較的まともな感じに取り繕えたつもりである。火掻き棒の、綺麗な方の末端を握って、まずは暖炉の部屋側の隅を掻いた。赤々と熱を撒き散らす石炭の中の小粒な一個を選び、鉄棒の先端で突付いて、ホルトナの方へ押し出す。)………小さいけれど、あなたにあげる。……食べられる?(エサというか、精霊に対する気持ちばかりの献上品のつもりらしい。もともと燃え盛る火の中で、涼しいように太っている精霊が満腹でない保証はどこにも無くはあるが、こういうものは気持ちから、というのが周囲の兵隊から聞いた数少ない有益な教えの一つだった。)そう。ありがとう。白湯があれば、頂ける?(火掻き棒を操る手を止めて振り返り、彼の行く先を目で追い、掛けられた言葉の内容に納得したが。場を離れてまで、わざわざ有難い慈しみをかけてくれたひとに、ある意味で無体なほど質素なものを要求していた。) 2009/11/02 (月) 23:46 ◆ セレス@兵舎 :霧みたいになったり姿を変えたりは、する。攻撃はしないから、それは安心していい。(問いかけに笑いながら答えた。見た目、火に触れてはいるのだし、確かに爆発しなくもなさそうだが――そういった話は聞いていない。無害かつほとんど力のない精霊とのことだった。)・・・・それでいいのか?(そんな言葉を残して、男は奥へ。好みの問題ではあるが、謙虚に聞こえる希望に首を傾げつつ、しかし薬缶を火にかけるまではどの道同じなので迷うことは無かった。取り残された精霊は、少年と対峙する。)(石炭の欠片を差し出され、丸いのは横へ傾いだ体を今度は前へと向けた。じいとそれを見つめるだけで啄みはしなかったが、)『くるるるるる・・』(やがて、機嫌よさそうに鳴いて羽らしき部分を膨らませて顔を上げた。ゆるゆる体を揺らしたのは、食べるかとの問いへの否との答えだ。ゾンドと意思疎通する気になっている辺り、距離はやや縮まったようである。) 2009/11/02 (月) 23:59 ◆ ゾンド :ふむ。そういった点は、一般的な精霊種と変わりはないか。(姿かたちを不明瞭に変貌させるのは精霊種の常套手段であるので、その辺りについては驚きはない。精霊種と一括りにしても、それは千差万別の個性を持つとある意味で過大評価をしていたから、無闇に想像逞しく、目の前のまんまるについて火焔の化身だという可能性すら真剣に検討していたのだ。例外的に、鬼種精霊というそこそこ厄介な子たちもいるようだが。)やはり、デフォルトな水分が一番安定しているから。(体にとって危険物を含むという意味では決してなく、ただ単純に飲み慣れたものであり、あまり趣味嗜好に傾倒しない性質ゆえの回答である。これがまたアオヂルや王水といったキワモノな液体が用意できるのだったら逆に、子供には珍しくない好奇心故に無謀に片足を突っ込んだ積極的な答えになっていただろう。)…………………すこし、サイズが矮小すぎたか?ちょっとだけ、まってね。(ごめんなさい、と一言謝ったけれど、それが精霊に通じたかは自信がない。ホルトナのすぐ横を火掻き棒が通り過ぎて行くと、暖炉の奥まった部分に隠れている、比較的大きな薪の炭を突付いて、手前の辺りまで引っ張り出す。ちゃんと酸素に触れられるような場所まで炭を誘い出すことができれば、じんわりと徐々にだが、熱量は高まりだすはずだ。) 2009/11/03 (火) 00:12 ◆ セレス@兵舎 :(るる、と鳴いた精霊は、謝罪にも新たな餌にも体を傾けるばかりだった。火が平気なのと魔術師の魔力が残っているのとで此処を篭城先に選んだが、実体を持つ物を食べたことは一度もない。不思議そうに黙って、のそのそと見た目どおりの鈍い動きで赤々と燃える炭まで歩み寄る。)(給湯からは薬缶の鳴る音が聞こえ、少しの間だけの動く気配の後、静かになった。自分には薄めの茶を用意して戻ってきた男は灯りに白い火を連れていたけれど、満腹の精霊はそちらへは反応しない。)はい、どうぞ。・・・・・いつまでこっちにいるんだ、貴方。戻ってきたのは一人?(カップの片方、色のない希望どおりの代物をゾンドへと差し出し、訊ねるのは精霊もどきの様子ではなく、彼らのこと。ギルドにいることの方が多いアルケミストの少女は見かけておらず、他にそれらしき姿も見ていないので、そう。視線だけは前へと出てきている精霊を窺っていて、大きさは近いが形は間違っても鶏ではないそれが炭をあらゆる方向から観察し、嘴で突き始めるのを見ていた。・・・食べているような動きだが、結果は表面が削れて火の粉と灰が飛び散るだけだ。) 2009/11/03 (火) 00:29 ◆ ゾンド :(とりあえず、提供した炭には寄って来てくれているものの、そもそも興味関心が薄いのか、それとも精霊の動きが生来から鈍重なだけなのか。今晩がかれとの初対面である少年兵には、そういった機微を体得するには経験と慣れが浅すぎている。成果の薄い火掻き棒での交渉は一時取り止めて、セレスから差し出されたカップを両手で捧げ持つように受け取った。湯気に揺らめく水面に目を落としつつ)ありがとう。こちらの用件は既に終えているから、戻る日時は、いつでもいいのだけれど……。ナコトと、二人で戻って来ている。彼女の部隊に損害が出ていたから、かれらの事で、ギルドに居るのだと。……彼女と協議して、彼女の諸用が済んだ期日を見付けてから、ここを発ちたい。そう長くは、ないはず。(ふと、精霊の方へ視線を遣ると、僅かながらも炭に興味を持ってくれたのは確かなようだが、炎の意気を食べているというよりは、物珍しい何かに悪戯を仕掛けているような、そんな様子に見て取れた。)物質的な贈り物では、いけないのかも。(少年兵は最早一見、精霊を暖炉から引き摺り出すという本来の目的を忘れているようであるが、まずは対話の確立からと徐々に段階を踏みつつ邁進しているのであり、見た目が地道なだけである。) 2009/11/03 (火) 00:42 ◆ セレス@兵舎 :そう・・――部隊、に損害?特工か?(ナコトの部下、とでも言えば多分バルディッシュだと思い至ったが、部隊となると別だ。そのようなものが組織されたと知らない男は、既に提出されている報告書の内容も特に振り返ることのないまま、懸念を口にした。思い起こすのはそれからで、手にした飲み物はそのままに、灰の目は記憶を掘り返すのに少し、ゾンドから外された。)(精霊の方は至って呑気だった。とっとっ、と一定のリズムで炭に嘴が振るわれるが、その部位すら丸っこい精霊の攻撃力が低いのは確かなようだ。削れ方は小さく、割れる予兆も見受けられない。徐々に押される形になっている炭とそれを突く精霊はじりじり外へと近づいているが、気付く様子もなく、彼は遊びに執心している。) 2009/11/03 (火) 00:56 ◆ ゾンド :特工となると……そうでは、ない。バルディッシュにもナコトにも、敢えて言えば金銭的な被害のみしか出ていない。彼らが擁するゴーレムの………なにか、簡易版と言えばいいのかも分からないが、そういった試験品を戦地に持ち込んだのだが、その三分の二が既に大破させられてしまった。(幾分か言葉が唐突だったようだから、彼に誤解の一端を踏ませてしまった事を反省したように、次からの情報はなるべく詳細に、訥々と語ってゆく。気温は確かに暖炉には近いけれど、それでもカップの水温よりはだいぶ大人しいから、白湯が冷めるのも自然の摂理に従う筈だ。水面の微かな水量を唇で啜るように、とても遅々とした飲み方で消費をする。猫舌なのである。)ねぇ、セレス、少しずつだけれど、あの子、外に近づいているみたい。捕獲の方法はあるの?まさか手掴みという手段では、ないものと思っているのだけれど。 2009/11/03 (火) 01:04 ◆ セレス@兵舎 :(言われれば報告書の文面を思い出すのはすぐで、説明しなおす少年へと視線も戻る。)ああ。そうか・・・すまない、書いてあったな。半分以上、となると、結構な被害だな・・・・(謝って――安心するのは件の彼女に悪いだろうか。もうしてしまった所だからどうしようもないが。手頃に冷めた茶に口をつけて、未だ偶然に仕掛けられた罠に勘付くことなく前進を続ける精霊を伺い、礼をするように腰を折る。変な振り子のように前後に揺れ動く姿を見、ゾンドの問いかけに)ん?(振り向くのと、首を傾げるのの間になった。)・・・・・手掴みだよ。魔法でもいいが。(それ以外に何も考えていなかったことの言い訳のように長い静寂を置いてから、答える。最初から、抱えて持っていく、という実に簡潔なプランでいたのだ。最後の手段で魔法をぶつけてやる気ではいたのだが、そうでない限りは、あまり手荒な真似をしたくない。)『ふぐぅ、』(こっ。炭が暖炉と外の境まで至ったところで、やっと鳥は上、己を見ている人たちの方へと顔を向けた。長いこと暖炉の中にいたが、そこは精霊、煤けてはいない。) 2009/11/03 (火) 01:18 ◆ ゾンド :ん………大丈夫。あまり、冗長な報告書だったと、自身でも反省している。次回があれば、より簡潔な形に仕上げたい。(改まった形で彼に謝罪を向けられても、それは仕方のない事と返せばあまりに失礼だ。長ったらしく、お世辞にも上手ではない筆記体が連なった報告書を余さず理解し、必要な事項だけを適時抜き取って思考せよ、などという無謀な試みなんて、あれを書き上げた自分が逆の立場に立たされた末、現実に遂行できるかどうかはまるっきり自信がない。意外な答えが返って来る。真円から成り立つ瞳を瞬かせて、首を傾げたセレスの瞳を追うように、首だけで真横を向きつつ。)掴めるの?素通りなど、されたりは、しない?あなたが魔法で、檻などを形成するものと思っていたのだが。(だいいち、物理的に炎上する暖炉に手を伸ばすなどと、この距離でも相当に熱いはずだ。炎の術士であるセレスにとっては、苦でもない所作なのかもしれないが。三時間以上も海中を潜水する鯨の気分を人間が共有できないのと同じように、火中の精霊を拾う行為には感覚的に言って納得はできない。)ともかく、捕獲は、任せたい。ホルトナに不審を抱かせないよう、我々はここで動かないでいるから。 2009/11/03 (火) 01:31 ◆ セレス@兵舎 :・・・報告内容が多いから仕方がないだろう。あれは骨が折れる。・・・・まあ、お疲れ様。次も期待している。あちらでの成果も、報告書の出来もな。(首を振って笑い、労いの言葉を。大体の人がやりたがらない作業を真っ当にこなしただけでも十分だと思う。纏めてあの長さなら、元はもっとなのだろう。ゾンドが苦労した分だけ自分たちが楽をしているのは間違いがない。――意外そうな彼の声が示したところは、考えてみれば当然の疑問だった。うん、と一つ頷いて)掴める。ケツァールと同じで実体があるからな。・・・・それに、主人からの命令がなければ殆ど、姿は変えないんだ。特に掴めないような形になるときは命令が要る。むしろ拘束魔法は嫌がられるから・・・なんだ、貴方。何?(苦労するんだ、と言いかけたところで、精霊が拒否ではなく肯定を示す時と同じく膨らんでいるのに気づいた。自分の発言のどこかに反応したようなのだが、分からず眉を寄せ・・兎にも角にも、まずは捕獲だ。)従え。(人と同じ体を持つ種族だから普通の火なら身を焦がすが、魔法を使えばその心配はない。元々この男の点けた火は魔力をすんなりと受け入れ、言葉と右手が触れた端から銀に――今の月と同じ色へと、色を変える。)『るっ・・・』(魔術師の手を避けるように揺れるそれの中の精霊を、両手でがしりと挟み込んだ。持ち上げて、捕獲完了だ。) 2009/11/03 (火) 01:52 ◆ ゾンド :褒めてくれて、ありがとう。もっと頻繁に戻って来られるならば、頻度からして報告書もより短くできるのだが。任務の性質からそれは難しい。たとえ月に一度だとしても、鍵となるひとには過酷な負担になるのだし。(本来は文官の裁量に任せるべき仕事だったのかもしれないが、諸々の理由が重なってしまい、レナードが手隙になる機会はそう多くない。比較的に言って自由に動ける隊員がこなすべきなのではないか、と考えてのほぼ独断行動だったのだ。)なるほど。そういった精霊なら、人間の手での接触でも大丈夫か………なに?(彼が自分のことを呼んでから、唐突に途切れた言葉を追尾するように問いを発してみたけれど、元から中断するような質問なのだから重要度は低いと見て、ホルトナへの施術へ意識を凝らした。流石に、暖炉の炎そのものを生み出した術士の手腕なのだから、火傷をするなどと不名誉な間違いを犯すはずもなく、ホルトナはいともあっさり、セレスの両手の内に握りこまれている。)お疲れさま。我々はもう、自室に戻るけれど、ホルトナの持ち主の元へは、今夜中に返還する?(ホルトナの持ち主が誰か、当該人物の居場所はどこか。そういった要素を何も知らない自分が引き受けられる仕事でもないから、そんな事を聞いたのはただ単に、薄く興味が向いたからだ。) 2009/11/03 (火) 02:05 ◆ セレス@兵舎 :何度も戻ってくるのも大変だろう。東はいるだけで体力を使うんだから、温存したほうが良い。その為に手帳もあるしな。(戻ってくるのは嬉しいけれど。あちらの要塞で会った時に告げたことを少年がすぐに実行してくれたのは、勿論知っている。彼の発言に頷き、ようやっと手の届く場所に来てくれた鳥を持って、屈めていた体を伸ばす。)・・・・貴方、重いな・・『ふぐるる。』(魔力を喰って肥えた精霊は、投げ出すほどではないにせよ、本来の大きさの時の三倍から四倍の重量があった。やはり歪なクッションのようなそれを、挟み込む形から抱えるのに変えて動けないようにしてみるが・・・先程までの抵抗はなんだったのかと言う大人しさだ。)何だ、いきなり・・・・(直前の反応といい、まるで意味がわからない。首を傾げつつも、収まり良くなったのでそちらから意識を逸らし、改めてゾンドの方を向く。)ありがとう、貴方のお陰だ。・・・ああ、少し面倒だが、置いておくわけにもいかないからな。ギルドまで行っ『ふぐう、』(にこりとして言った礼の次の答えは、途中で中断された。腕から抜けて飛びあがった精霊の頭突きが顎に当たったのである。ギルド、との言葉を厭ったらしい彼を押さえつけ、)ギルドは、嫌なのか。なんだ、どこに行きたい・・・・(ぶつぶつと文句のように。) 2009/11/03 (火) 02:26 ◆ ゾンド :ひどい騙まし討ちをしたから、ご立腹なのかも。(下顎に頭突きを繰り出すなどというホルトナの精一杯の反抗はむしろ、柔らかそうなこの子の体から見て随分と威力に欠けるように思えて、直後のセレスが見せてくれた呆れたような反応に、やはり軟弱な物体なのだな、と納得して溜飲を下げた。しかしやはり、このように仄かに光るぼやけた輪郭の体躯では、どうしても体重に富んでいるようには見えないが。)……ともかく、あなたに任せるしかないみたいだから、気をつけて、お願い。……それとも、ギルドまでは同伴する?逃げられたときの人手としてならば、微力ながら力添えをしたいが。(ともあれ、彼を追うにせよ自室に引き篭もるにせよ、所持品である筆記用具をまず部屋に仕舞ってからだ。同僚が精霊を保持するのに四苦八苦する間、こちらはいそいそと自室の扉へ向かう。自分が急ぎ部屋を出て来るまでに、セレスがパーティルームから出て行ってしまっていれば話はお流れとなるだろう。道中は従者になるしかない実質的な役立たずをわざわざギルドまで引き連れるのかどうかは、彼の判断に任せたいと思う。) 2009/11/03 (火) 02:36 ゾンド【退室】 (2009/11/03 (火) 02:36) ◆ セレス@兵舎 :・・・・そうだな。逃がさないようには、気をつける。(ゾンドの導いた答えには一理がある。もぞもぞとしているぼってりした奴は本当に綿でも入っていそうな微妙な感触だが、攻撃には何からくるか謎な重さが上乗せされているのでちょっとした威力はあった。予想通り、痛くはないが。)『るるるるるるる、るる・・』ギルドではないのなら――(目の前の見慣れぬ少年までがギルドと口にしたので不機嫌になって鳴き始めたのを拘束しながら、言葉の通じない彼の意図を考え直す。帰るのが嫌なのかと思っていたが、単にそうではなくギルドを拒否しているらしい。となると望みは、多分一つで。)・・・主人のところか。(飼育係はギルドのアルケミストだが、本当の飼い主は彼らではない。思い至って呟くと精霊もどきは急に大人しくなり、上機嫌に膨らんだ。精霊と見詰め合う形になった男は真逆に深い溜息を吐き出す。これだけの答えに辿りつくまでに、大変な時間と労力をかけたものだ。お互いに。)アルケミストにいじめられでもしたのか、貴方・・・・ゾンド、まだ寝ないで暇があるなら付き合ってくれるか、城じゃなくて、第一棟なんだが。(行き先は隣の兵舎に変更だ。一人で行きたくないというとても大人気ない理由で、部屋を出て行こうとした人に同伴を望んで――ゾンドが応じてくれたなら、連れ立って行くだろう。向う部屋にいるのは精霊の主、蒼い目の傭兵だ。) 2009/11/03 (火) 02:55 セレス@兵舎【退室】 (2009/11/03 (火) 02:55) HIGHLAND FORTRESS 峠の要塞(閉鎖しました) http://h-f.sakura.ne.jp/kariken/index.html BACTERISM MATRIX http://bacterism.matrix.jp/ PCキャラページ http://tryx-quad.sakura.ne.jp/zond.html