題名:とある場所の物語 登場隊員:ゾンド・バード・エル(エンディミリオン要塞) ゾンド【入室】 (2010/06/25 (金) 22:19) ◆ ゾンド :(澄み渡った夏の夜空なのに、寒々しい空気に満ちている気がするのは何故だろうか。高地特有の薄い空気が満ちる空中庭園は、いつもいつまでも変わらない平穏が支配している。平穏と言うと語弊があるが、普段と変わらず、罵詈雑言やら逆に歯の浮くような世辞やら、ただの談笑やらが大雑把に含まれる舌歯の交流の場である事は間違いない。文官同士の非力な殴り合いも、ここ一月ほどは起きておらず、蒸し蒸しする初夏の暑さから逃げるように、この涼しげな広場には今宵も多くの避難民が訪れていた。特にここ、少年がこぢんまりと納まっている噴水のベンチの近くには。) 2010/06/25 (金) 22:24 バード【入室】 (2010/06/25 (金) 22:44) ◆ ゾンド :(よくよく観察していると分かることだが、魔法かあるいは何らかの方法で冷水を作れる人材もここには少なくないらしく、出入り口を往来する人間の手にお冷が握られているケースも珍しくはない。格好とか風体を見るに、そうした系統にはアルケミストらしき人物の姿が多かった。そうした先達を見ても、羨望も何も抱かずにぐったりとベンチに腰掛けている人間が大半なのは、昼間の業務で精魂を尽き果たしたからなのか。白帽子白装束の少年は、手指の先で掬った水と戯れているくらいのものだが。悶々と蒸し暑いだけの退屈な夜は、デスクワーク主体の痩せ文官の体力を刻一刻と削り取っている。) 2010/06/25 (金) 22:44 ◆ バード :(いつもの通りだが、どこかふわふわとした足取りで、その男は歩いてきた。目立つのが使命とまで考えている自称吟遊詩人の男は、滞在の長さもあいまって、芸能好きの高官に顔が知れ渡っている。数歩進んでは知り合いに声をかけられ、あちらこちらに愛想を振り撒きまくって、ようやく少年のそばへたどりついた。)あら、今晩は、よい夜ですねぇ〜 (微笑みかけて、ちらとあたりを伺う。彼に待ち人がないようなら、さっさと隣に腰掛けてしまおう。何せ空席はごく少ないのだ) 2010/06/25 (金) 22:52 エル【入室】 (2010/06/25 (金) 22:57) ◆ ゾンド :(昼間からどこそこでぴりぴりした要塞であり、同様に娯楽にも少ない場所において、彼のような存在はまったく希少ということだった。伝聞系なのが気恥ずかしいが、それはそれとして、文化を嗜む者が一目置かれる環境は、とてもいいものだと思う。隣席に腰掛ける痩せぎすの管理官に一礼をした。横に空けるスペースもろくにないので、位置はこのままだ。)とても同意。ここが夜に晴れると、星が綺麗に見えて、素敵。あなたも、涼みに? 2010/06/25 (金) 22:58 ◆ エル :(いつ来ても同じ季節でいる庭は、やはりいつ来ても白服の人々の溜まり場だった。当然こちらも白服で、立場もあってあまり着崩すわけにはいかず、日が落ちていくらか気温が下がったのを幸いと外に出た。此処まで来ればじとりとする風もなく、)おお、涼しい・・・(回廊を抜ければ思わず呟きが漏れる。少々気を抜きかけたところ、ファーストの騎士が奥にいるのを発見してぐっと背を伸ばした。本日盛況の中、よく知る人々を見つけたわけでもないのだが、涼を求める意識で足は噴水の方へと向く。途中、顔見知りの人々と挨拶を交わしつつ。) 2010/06/25 (金) 23:03 ◆ バード :ええ、そう。ふふ、ほら、月にだって手が届きそう (芝居がかった仕草で頭上に手をかざして、そう謳う。その拍子に視界の端に入った青年へ、上げたままの手をひらひらと振った。)エルさぁん、今晩はぁ。こっち、空いてますよ〜!(多少ざわついた中でも、男の声はよく通る。聞こえないことはまずないだろう) 2010/06/25 (金) 23:12 ◆ ゾンド :もし届くのなら、月の石を持って帰れたらいいのに。(翳した手に釣られて、欠けや毀れ一つも見られない満月を見上げた。バードの呼び声によって竜騎士の青年に気が付くと、ゆらゆらと大きく手を振る。毎日の日差しの下でも焼けない肌に白装束も相俟って、まるで禍々しさの足りない鬼火のようである。長くここの要塞に居ても、同僚以外の人間には大して顔見知りにもなれない少年にとって、二人の交友の自然さには少なくない羨望の色を抱く視線を向けた。) 2010/06/25 (金) 23:19 ◆ エル :(普段からよく口を鍛えている人々の中でもはっきり聞こえる声は、親しい人のもの。何か仕事でも言いつけられたか、慌てて走る文官に道を開けながら声の方を見遣れば、声と同様に見つけやすい姿が目に入る。)あ、お疲れ様ですー・・・ゾンドさんも。お二人ともお仕事はもう終わりですか?僕は夕涼みですけど。(浮かび上がるような白黒の少年を見つけるのはそのすぐ後で、軽く手を振り返してから駆け寄った。もう夕涼みと言うには遅い気もするが、どうにか執務室を這い出てきたところなので気にしてはならない。) 2010/06/25 (金) 23:24 ◆ バード :(ここにいるとすれば、仕事を終えたか、投げ出してきたかの2択だろう。どちらとはあえて答えず、にこりと笑った。そうして、ゾンドの言葉に小さく首を傾げ)――あら、”月の石”なら、あるじゃありませんか。(エルへと同意を求めるように視線をやり、それから、あたりを見回した。ここにいる誰かなら、一人は持っていそうなものだが。) 2010/06/25 (金) 23:32 ◆ ゾンド :(こちらも同様に、だが細かくは詩人とは逆の方向へ首を傾げた。)んん……?…申し訳ない、……あまり、民話や戯曲から来る言い回しや、謎掛けについては詳しくない……。(こっちの意図は真っ正直に、月という天体の表土の一欠けらという意味だったから、基本的に硬直した思考しかできない少年は、バードの婉曲な言い方に素直に白旗を掲げる。頬に立てた人差し指を当てて、バードからエルへと繋がれた視線を辿る。自分も助けを求める意図でエルを見遣った。)どういうことなの? 2010/06/25 (金) 23:38 ◆ エル :ん?何の話してたんです。(視線を受け首を傾いで、月、と上を向いた。今日丁度まんまるになったそれを見、横に飛行する竜騎士も見えたのでついでに手を振ってみたが相手は気づかず――そうやって気を抜いたところに、救援要請を受けて俄に慌てる。)え、あっと・・・宝石の方ですか。(こちらも、期待されるほどそういった事柄に詳しくない。そう呼ばれる物があったような、という程度の思いつきを口にして、真っ当な援護にはならなかったことに苦笑いした。) 2010/06/25 (金) 23:44 ◆ バード :いい夜ですねえってお話を―――ええと、そうそう、月長石、と呼んでいるのでしたっけ?細る月の欠片、月光を浴びた夜露、女神の涙――(詩歌用の気取った言い方を連ね、おや、と何かに気づいた。広角をやや上げ、少年へ視線をやって)ふふ、愛を呼ぶ石でもあるそうですが――そういったものに、興味があるお年頃ですかねえ〜!ですよねぇ〜 2010/06/25 (金) 23:55 ◆ ゾンド :そう。そういうこと、だったの……。(もとより装身具には関わりの薄い身であったながら、目の付け所が石材だったというのは不意の盲点であった。考え方を調整すれば、自力で回答に辿り付けたかもしれないものを。項垂れるとまでは行かないが、明らかに生気の減退した様子を露にして。)ええっと、それは、エルが、ということ?(無体な鎌掛けに鉢合わせしたとして、狼狽もしないが、鋭敏に反応もしない。徹底的な拒否もしない辺りに、海千山千の人間なら感じ取る物もあるだろうけれど、とりあえずこういった話題は青年の担当だろうとお鉢を回してみるのだ。) 2010/06/26 (土) 00:03 ◆ エル :(確かに、と頷いたのは前半の方。ちょっと蒸すのに目を瞑れば空の綺麗ないい夜だ。さっき見たばかりの空へと再び視線を向けて、石ではなく本物をもう一度眺め。)青っぽく光って見えるやつですよね、確か。(続く詩人らしい言葉は聞きなれている身ではあるけれど、何処でもこうしてすらすら出てくる様にはやはり感心してしまう。完全に聞き手の構えでいて)いやっ、ゾンドさんだと思いますよー、お年頃なのは・・・・ですよね?(また不意を突かれ、それこそ当事者であるように上擦った声が出た。話の矛先をゾンドに戻そうとしながら、バードに笑いかける。・・・自分は既にお年頃を通過した側だろう。) 2010/06/26 (土) 00:09 ◆ バード :あら、ゾンドさんったら、だって貴方、月の石が欲しいのでしょう?(こちらもきょとんとして、ゾンドへ首を傾げた。途中に自分が割って入って、話を曲げた事に気がついていない。エルの言葉に、そうそう、と頷く。)…まあ、エルさんにも素敵なお相手がいらっしゃれば、とは、常々思っていますけれども。…どうなんです? あっ、わたくしはもう妻が居りますから、勿論そういうのは必要ないですし〜 2010/06/26 (土) 00:15 ◆ ゾンド :ん……いや、それは直戴的にな意味で言ったのだけど……、月長石ではなくて、月という天体の表土の一部という、詩歌を経由しない意図だったから。エルについてはだが……我々は、プライベートには、干渉しないから……。(だいいち、愛を呼ぶ石なんていう謂れがあっただなんて知らなかったし、とも付け加えて。ふと思ったが。そういえばもう、詩人とは何年もの付き合いになるが、ご家族を紹介された覚えが無かったのだった。)しかし、公の勤めとはいえ奥方を孤独にさせてばかりでは、可哀想では。それとももう、お子さんが独立なされて?(諫言のつもりではないが、こうした夫婦のかたちはあまり喜ばしいものではないのではないかと、道徳の教本の受け売り通りに意見を述べている。) 2010/06/26 (土) 00:25 ◆ エル :(矛先が曲がりきらなかった。お年頃はとうに過ぎていても経験値が低く、そういう話も大好きな彼の問いがこちらに向いて、うろたえるのを上手く隠せるほどではない。無意味に胸の前まで上げた手をふらつかせ)僕はその、えー・・・ほらっ、エリーがいますから、ね!そういうことより仕事しろ、なんて怒られちゃいますし。(壮大な異種族恋愛のようなことを言ったが、無論そのつもりはない。また別に大切なパートナーである。管理官は、その彼女が『でも雄なんだからもうちょっと』云々と言うのも聞いた事があるかも知れないが。――ゾンドの問いかけにはふとした顔で、バードを窺った。ずっと同じ部隊で世話になっているが、この手の話は明るく終わらないことも多いのであまりしないのだ。) 2010/06/26 (土) 00:29 ◆ バード :えっ、だから、それが月の石じゃあないんですか?――んもう、エルさんはそういう事ばっかり言っているから、いろんな女性の熱烈な視線に気づかないんですよぉ!あなた、この間だってですねぇ…(色恋沙汰に縁の無いふたりを交互に見ながら、口を尖らせて説教モード……にはいりかけたところで、勢いが止まった。エルの鼻先に突きつけようとした人差し指が虚空にぐるぐると円を描いたあと、気遣わしげな青年の額に止まって、軽く押しやる。ゾンドへ向き直った中年男は、ゾンドの額も指先で弾いて)もう!夫婦の事情に子供が口を出すんじゃありません!めっ! 2010/06/26 (土) 00:43 ◆ ゾンド :(認識というか文化というか、まるで大地震で勃興した断層よりも高く険しい齟齬を見上げて、少年は些か戦慄の瞳を見開いたのだった。まぁ、エルに向く羨望の視線…とでも言うのだろうか、これもまた伝聞に拠るものでしかないので、論拠と物理的な証拠にあくまで偏重している少年には歯痒いものであったが)エルの自己評価の低さは、そもそも教育過程に発しているのではないかと思うことがある。あなたが自分で思っている以上に、あなたは社会的にも、軍の内部から見ても、非常に高い評価をされているのだが。(売り言葉に買い言葉とは微妙に違う経過を経て、率直に言い募ったけれども、若干上から目線ではなかったかと言葉の途中に自省が生じて、後半に向かうへ連れて声量は小さくなっていた。)…………、それは、申し訳なかった。以後、気をつけたい。(弾かれた箇所を右手の掌で押さえ、摩りながら陳謝を述べる。少年の脆弱な皮膚組織にとって、それは軽く額が凹面状になるほどの威力を持っていたが、二秒も経てば何て事はないのだ。上手い事はぐらかされた事については、幸か不幸か気付いていなかった。) 2010/06/26 (土) 00:56 ◆ エル :(まあいつもどおり説教に圧され、指先が突きつけられるのに少し身を引いた。そこまでは笑っていたのだが・・直後の沈黙には子供の前であることも手伝って不安も感じ、何か言おうと口を開き――そのタイミングで回っていた指先が額へと据えられた。)うおっ。ぼ、僕も子供ですかー・・・(押されたところを抑えて、文句のように言いながら笑う。言葉と共に吐いた息は少なからず安堵の交じったもので、)ええ?色んな方がそう仰ってはくれるんですけどねぇ・・・・やっぱり身に余るって言いますかー・・女の人もそうですしー。頑張ってはいますけど、まだまだですから。(褒められたのだろう。この少年兵がそうした嘘を吐くことはないと知っているのだが、なんだかんだで素直に受け止めきれず、視線を逸らしてもごもごとはぐらかした。) 2010/06/26 (土) 01:04 ◆ バード :はい、よいお返事です。――貴方だって、いつまでも女性の好意に気づいて上げられない人はお子様なんですよ!(つんと顔をそびやかして、年上ぶったことを偉そうに言う。そうして、エルへの説教の続きを思い出したのだが) 「あ、ちょっとすみませんね、――貴方。」 (男の口を封じたのは、いつの間にか近くに来ていた文官であった。抱えた書類を何枚か捲って内容を確認し) 「昼に提出してもらった書類、一緒に確認したいから部屋に来てって伝言したでしょう。今、どこからどう見てもお時間ありますよねぇ…?」   …………………うふっ。(愛想笑いが通じるわけもなく、余計に青筋を立てた文官に、中年男は引きずられていく。同僚二人へ助けを求めるように手を伸ばした姿が、だんだんと遠くなっていき)…………エルさん、その件は〜!あとでじっくり話しぁぃ………(やがて、人ごみにまぎれて見えなくなった。) 2010/06/26 (土) 01:18 バード【退室】 (2010/06/26 (土) 01:18) ◆ ゾンド :お疲れ様です。では、明日も、また。(待ちぼうけを食わされていたらしき文官と、仲良く二人連れ立って退去した詩人を手を振って見送ると、改めて様子が畏まった。)明日も早くから諸用があるので、我々も席を立つに良い頃合だと思う。では、エルも、また明日。……朝食の後に余裕があれば、少し、時間を貸して貰いたいのだけど。(アルケミストの集団からよく熟した枇杷の実を貰ったのだが、ここでそこまで話していいのか暫し悩んで、結局その場では要求だけを告げて、席を立つ。背の控えめな少年が植木を縫って五分も歩けば、げんなりと青い顔を揃えた高官たちの背に紛れて、見えなくなった。) 2010/06/26 (土) 01:25 ゾンド【退室】 (2010/06/26 (土) 01:25) ◆ エル :・・・・バードさん、(説教にはまた少し仰け反って――愛想笑いに脱力して緩んだのはこちらだった。息抜きも大切だが、見つかってしまう不手際には笑うしかなく)はい、お疲れ様です。あ、早めに解放してくださいよ!こっちも任せるお仕事あるんですから!(去っていく二人の背に、そう。お仕事、と言うのは明日の朝食の準備だが、それを言うと文官がキレかねないので勿論伏せる。時間もいい頃、ゾンドも戻ると聞いて頷いた。略式敬礼して見送ろうとし)はい?いいですよ、今日はちゃんと書類片付けましたから、明日は時間あります。おやすみなさい。(何か頼みごとだろうか、と勝手に考えて快諾した。嬉しい誤算に気づくのはその時になってだろう。声をかけ、さて自分も一周して帰ろうか、と考えたのだが――数歩進んだところで降りてきた竜騎士に呼ばれて、戻るのは先延ばしになる。) 2010/06/26 (土) 01:31 エル【退室】 (2010/06/26 (土) 01:32) HIGHLAND FORTRESS 峠の要塞(閉鎖しました) http://h-f.sakura.ne.jp/kariken/index.html BACTERISM MATRIX http://bacterism.matrix.jp/ PCキャラページ http://tryx-quad.sakura.ne.jp/zond.html