◆ 【RP−03】 No.600(親記事)
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2006年12月07日(20:46) |
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ゾンド |
レギの閃光の如き剣先によってオリジンの肉が引き千切られる。 更にジュートの横薙ぎの一撃でレックスを捕えていた触腕がもがれた。 最後に行われたビッツによる両断。
この一連の攻撃行動で完全に戦闘能力を失ったオリジンは失速、 カタパルト上から弾き飛ばされて壁面に激突し、 断末魔の悲鳴を上げつつ側壁の摩擦で肉体を徐々に削り落とされ、 最後には基が何であったのか正体の掴めない醜悪な消し炭となっていた。
一団を乗せたカタパルトは主動力が半減し余計な物体も挟まっていたが、 ゆったりした速度で確実に上昇していく。
数時間をかけて戻った地上は、破壊された建築物が点々と残るだけの 何も無い荒野だった。気温は肌寒い。 時間は明け方らしく、橙色の地平線と藍色の雲が空を彩っている。
(指揮官は命令書TF/aを開封して下さい。)
◇ 【RP−03】 No.601(No.600への返信記事)
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2006年12月10日(18:14) |
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ヴィッツ |
酷く冷えた空気と、陽が地平線に隠れかかっている様を見て、今が夜なのか朝なのか――まさか昼ではあるまいと思う――判断つかなかった。 普段見る夢の残骸よりも悍ましいものは目を閉じれば見えなくなっても、目を閉じれば断末魔がまだ聞こえる気がしてすぐに目を開ける。…さっきよりも顔を表に出しつつある太陽が目に入って、間を置いてああ朝だったのかと理解できた。 なるべく音を立てないように長く息を吐いて、また吸って、背筋を伸ばしてみる。 しばらくそのまま深呼吸していたが、ちらっと仲間の方を振り返って、
「…惨劇さね」
必要以上に赤黒く思える光景を眺めて、剣を収めるのにのろのろと腕を上げた。軽い金属の音の間に、異音が入る。む、と顔を顰めて、ややあって胸に手をやり取り出したのは、どこぞで預かった命令書とかいうやつだった。大分もみくちゃになっていて、とても最高命令とは思えない紙片だった。
「…なんだっけ、これ…。……」
よいしょと足を引きずりながら仲間から少し離れて行って、今更命令書をどうしようとも考えずに、照りだす朝日に透かすようにして命令書の封を破る。 中を抜き取って、外がらを放り投げた。
◇ 【RP−03】 No.602(No.600への返信記事)
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2006年12月11日(02:32) |
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ゾンド |
放り出された封筒の中身、やや霜も降りている地表に着地する前に、 空中を滑るかの様な高速で明後日の方向へ飛んでいった。 視力の良い者ならトップスピードに到達する前の紙片が目に入ったであろう。 遥かヒモトでは「式神」とも呼ばれる物体だが、 バージェスではこれを片道限りの通信手段として用いている。
一時間程経つと二騎のハイランド軍所属の竜騎士が地平線の彼方から現れた。 両方ともまだ若く見える騎士と竜だった。 一騎の片割れは地上には降りず、待機部隊の上空を旋回して周囲を警戒している。 片方は始めこそ胡散臭げな視線でこちらを遠巻きに観察していたが、 死体の群れではなさそうな様子に意を決して接近し、 残兵拾い目的の救援隊がこちらへ向かっている事を手短に伝えると、 さっさと同僚と一緒に上空の哨戒兵と化した。
幾つかの馬車がこちらに向かって来るのが見えるのはこのまた30分程後である。
この戦役により、バージェス地方の人類生存圏は完全に消滅。 ハイランド高峰国、及びゼフィユ連合国との国境線に、 一種の戦力空白地域が生まれる事となった。
それは元々この地域に蔓延していた厭戦的な空気と混じり、 欺瞞に満ちた平和が訪れる。
ゼフィユ連合国は自らの主戦力に懲罰戦争以上の大きな痛手を被る事態を回避し、 また、ハイランド高峰国軍も最少の犠牲でその狂気の技術の切れ端を掠め取る事ができた。 両国とも双方痛み分けの形で譲歩。 互いに外交的な抗議や干渉は発生しなかった。
そして、両国の国家機密以外の情報媒体、地図、そして公的文書からは、 この事件の詳報は徹底的に抹消された。
今はただ、実際に傷つき、血を流した者だけが、 「バージェス」の名を、その記憶に留めているのみである。
(GM注:作戦完了直後のロールはこちらのスレッドを御使い下さい。)
◇ 【RP−03】 No.625(No.600への返信記事)
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2006年12月12日(12:25) |
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シグルド |
「ようやく我々の帰るべき場所が見えたか…」
まさに満身創痍。 戦闘終了後に応急処置は受けたが、未だに強力無比な攻撃による激痛が電撃のように全身を駆け巡っている。 しかし朝焼けの空を見れば疲労も痛みも吹き飛んでいく気がした。やはり空こそが自分の帰るべき場所なのだ、と実感する。 ラスタードも相当なダメージを受けたようだが、自分と同じように空の下に来れば随分と回復したように見えた。まだ飛ぶことは叶わないだろうが…。
「…今回の戦い………私は隊長としてまだまだ未熟だな…」
破壊された町に冷静さを欠いて突撃し、こんな状況下とは言えゼフィユの兵士への警戒を怠った。さらには最終戦で活路を開くために単身突撃、玉砕である。 かつての竜騎士第六小隊隊長フォルス・ドライヴは細かいことは気にしない豪快な性格だったが、やはり隊長としては優秀でまだまだ自分は彼の足元にも及んでいない。 同じく、今の第六小隊もフォーメーションや竜と騎士の呼吸の甘い所がある…。そう感じた。 帰還後、皆の傷が癒えればまずミーティングを行わなければならない…。バージェスで流した血を無駄にしない為の反省会だ。
そう思いながら、ふと東を見る…。思わず鉄仮面の下で笑みが零れた。
「…ああ、我々はまだまだ及ばない竜騎士小隊だ…。だがひとつだけ…たったひとつだけだがこの戦いで誇れることがある。」
立ち上がり、相当ガタがきた焔の突撃槍を天に掲げる。 誰に言うわけでもない言葉。睨みつけるのは遥か東方に見える眩しい太陽。
「全員で生き残ったぞ…!」
美しい黎明だった。
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